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昭和、平成、その足跡から素顔の天皇陛下が見えてくる

『天皇の旅と寄り道』(竹内正浩・著 ベスト新書)が2月9日発売。

 

「天皇の譲位」という、明治以降初めてとなる出来事を控えた今、再び天皇の地位に注目が集まっている。しかも今年は「明治一五〇年」という節目の年でもあり、日本の近代のあり方をふりかえる恰好の年でもある。先年には『昭和天皇実録』も公開され、天皇の動向を通して、時代を回顧する動きも高まってきた。
明治・大正・昭和・今上──明治維新後の四代の天皇は、それぞれ非常に個性的だった。天皇の個性が、時代の雰囲気をかたちづくった点もいくぶんあった気がする。
本書のねらいは、「行幸」、つまり「御所からのお出まし・お出かけ」に焦点を当てて、天皇個人の人となりは勿論、そのときの具体的行動から、歴史の襞の裏側を探ろうとするものである。この本では、私たちが親しんでいる昭和天皇と今上天皇を取り上げた。その足跡をたどれば、幼くして「将来の天皇」という重い運命を引き受けた二人が、どのように時代と格闘したかがわかるだろう。その道程を探ることは、非常に意味があると思う。
巻末資料は、『昭和天皇実録』や側近の日記、その他の資料から再構成している。歴史年表と見比べるとなかなか興味深いし、読者ひとりひとりにとっても、思わぬ発見ができるのではないかと考えている。

【目次】
はじめに
皇室の系図
関連年表
第一章 祈りと癒しの旅
平成の玉音放送/多忙な公務の日々/御用邸利用を比べてみれば/軽井沢への思い
第二章 大元帥陛下の旅
期待された皇太子/軍務が義務づけられた皇族/年に一度の地方行幸/道案内の誤りで自決騒ぎ/御用邸行きを中止したがった天皇/開戦前日の「家族写真」撮影/内地帰投の戦艦「武蔵」行幸/終戦を挟んだ昭和二〇年の行幸/宮城で過ごした最後の二ヶ月/「直接軍政」の危機迫る/国旗を付けた終戦直後の御召列車/先帝に祈りを捧げた皇太后
第三章 戦後復興の旅
御料車のソファで眠る/教室を仕切った寝室/初めて和風旅館に泊まる/行く先で鰻の蒲焼き攻めに遭う/GHQの逆鱗に触れた「事件」/徹底節約で臨んだ九州行幸/東宮時代に泊まった部屋へ/皇后同伴の北海道行幸/全国植樹祭と国民体育大会/数々の昭和天皇伝説/オリンピックと博覧会/最後まで願った沖縄訪問
第四章 離宮と御用邸の歴史
明治に急増した「離宮」/交通の要衝に置かれた御用邸/思い出深かった沼津御用邸/大正天皇ゆかりの田母沢御用邸/ホテル別館となった御用邸/葉山御用邸の知られざる歴史/新種のクラゲを発見した昭和天皇/昭和天皇が一から手がけた那須御用邸/三井別荘だった須崎御用邸/幻の御用邸があった/「我が理想は一つも実行されず」/特攻基地になった御用邸用地
第五章 鉄道・地図と趣味
長州訪問が後回しにされた理由/「車」の御題で「鉄道」を詠む/ポケット世界地図に熱中/地図絵師吉田初三郎を世に出す/参謀本部の地形図献上が恒例となる/ゴルフに熱中した天皇/心労から居眠りした原因/兄弟で訪れた初めての大相撲/「ライオンは威張っているから嫌い」/天皇賜杯の意外な起源/童心に返って本場所観覧/シラク氏と大相撲の話題で盛り上がる/最後まで楽しみだった大相撲/花屋敷と観戦鉄道
第六章 映画・テレビと日常
映画にもしのび寄るドイツの影/戦意高揚映画を見ていた天皇/高松宮との深刻な対立/高松宮の宮城来訪が途絶えた理由/「日本のいちばん長い日」と「トラ・トラ・トラ」/初めての大スクリーン/「羅生門」「麦秋」「幸福の黄色いハンカチ」/「皇室アルバム」の熱烈な視聴者/「きのうの紅白歌合戦は、どっちが勝ったの」/好き嫌いを一切口にしない/米八割、麦二割の食膳/独立回復直後の全国戦没者追悼式/ヘリコプターで駆けつけた最後の式典/お慎みと二・二六事件
巻末資料
宮城付近の主要施設/赤坂離宮付近の主要施設/都心の主要施設/昭和天皇の行幸・行啓/おもな昭和天皇の行幸・行啓先の現在/今上天皇の行幸/東京の天皇御座所一覧/おもな離宮・御用邸一覧/昭和天皇映画鑑賞記録/昭和天皇相撲観覧記録
参考文献
 

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竹内 正浩

たけうち まさひろ

1963年、愛知県生まれ。文筆家、歴史探訪家。地図や鉄道、町歩き、近現代史研究をライフワークとする。

著書『地図と愉しむ東京歴史散歩』シリーズ、『地形で謎解き!「東海道本線」の秘密』(以上、中央公論新社)、『重ね地図で読み解く大名屋敷の謎』『水系と3Dイラストでたどる東京地形散歩』(以上、宝島社)、『地図で読み解く東京五輪』(KKベストセラーズ)、『写真と地図でめぐる軍都・東京』(NHK出版)、『空から見える東京の道と街づくり』『「家系図」と「お屋敷」で読み解く歴代総理大臣』シリーズ(以上、実業之日本社)など多数。


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