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最善のがん治療。医師へ相談せずに選べるか

1万人以上のがん患者を治療する放射線治療専門医が語るがん治療最前線

■二人三脚ができたらベスト

 シェアードディシジョンモデルでは、医師は患者さんが意思決定するのに必要な情報を制限なく提供します。

 複数の選択肢や、それぞれの利点、起こりうるリスクなどについて情報提供し、その上で患者さんと医師が話し合いを重ねて方針決定していきます。

 シェアードディシジョンモデルは、これからのがん治療の現場でもっと広まっていくだろうと思います。そこでは、NBM(Narrative-basedMedicine=物語に基づいた医療)という概念が必要になります。

 NBMは、医師が患者さんにエビデンスに基づいた医療(情報)を提案するだけでなく、「患者さん自身の人生」という物語において抱える問題に対し、全人的(身体的、精神・心理的、社会的)にアプローチしていこうという試みです。
 私の患者さんに当時五〇代だった男性の方がいます。大学で数学を教えていた先生です。彼はほかの病院で肺がんを告知され、手術を勧められました。しかし、それを拒否して大船中央病院にやってきたのです。

 CT検査の段階で、縦隔リンパ節が認められ、転移なのか良性の腫大なのか判断がつかない診断でした。まだ若くて体力もある方でしたので、私も手術を勧めました。しかし、首を縦に振ってはくれませんでした。

 彼は埼玉県秩父の麓の自然豊かな地域でたくさんの愛犬と生活していました。自分が手術をするために入院して、犬の世話ができなくなることを心配していました。そのため、手術で寿命を長らえる可能性を高くするより、外来で放射線治療を受けることを強く望みました。

 また、全身化学療法も拒みました。

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武田 篤也

たけだ あつや

放射線治療専門医。1994年、慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、防衛医科大学校病院、都立広尾病院にて放射線治療診療を行う。2005年に大船中央病院に赴任し、放射線治療センターを開設。以降13年あまりの間に、全国有数の高精度放射線治療施設とする。SBRT(体幹部定位放射線治療)を2000例以上行う(肝臓がんは世界1位、肺がんは国内2位)。70編以上の医学英文論文に加えて専門書『The SBRT book』(篠原出版新社刊)を執筆。中東の某石油産出国の国王に呼ばれ、診療を行った経験もある。


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  • 2018.01.19