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がんに効く「免疫チェックポイント阻害薬」とは?

1万人以上のがん患者を治療する放射線治療専門医が語るがん治療最前線

ん治療にまつわるニュースで話題となった「オプジーボ」をはじめ、続々と「免疫チェックポイント阻害薬」の開発が進んでいます。1万人以上のがん患者を治療し、SBRT(体幹部定位放射線治療)において世界トップクラスの治療実績をもつ(肝臓がんで世界1位、肺がんで国内2位)放射線治療専門医・武田篤也氏の著書『最新科学が進化させた世界一やさしいがん治療』より、免疫チェックポイント阻害薬の最新事情を紹介します。

■世界中で研究が進んでいる

 

 免疫チェックポイント阻害薬が日本ではじめて登場したのは、二〇一四年のことです。その年の七月に、小野薬品が開発したニボルマブ(商品名オプジーボ)が、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)の治療薬として承認されました。

 その後、転移性の腎細胞がん、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がんにも保険の適用範囲が広がりました。

 今も胃がんなど複数のがんへの適用が検討されており、将来的には、消化器系のがん、泌尿器系のがん、婦人科系のがんなど、続々と保険適用になることと思います。

 二〇一七年には、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)という外国の製薬会社のものも承認されました。

 ほかにも、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブといった免疫チェックポイント阻害薬が開発され、それぞれ世界中で臨床試験が進んでいます。今後も新薬が続々と出てくるでしょう。

 放射線治療との併用療法も試されています。放射線治療で一部のがんの照射をすると、がんが崩壊し、免疫細胞ががんの目印(抗原)を認識しやすくなります。すると、放射線治療が直接行われていないがんも、体にとって異物と認識され、攻撃されます。これをアブスコパル効果といいます。

 
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武田 篤也

たけだ あつや

放射線治療専門医。1994年、慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、防衛医科大学校病院、都立広尾病院にて放射線治療診療を行う。2005年に大船中央病院に赴任し、放射線治療センターを開設。以降13年あまりの間に、全国有数の高精度放射線治療施設とする。SBRT(体幹部定位放射線治療)を2000例以上行う(肝臓がんは世界1位、肺がんは国内2位)。70編以上の医学英文論文に加えて専門書『The SBRT book』(篠原出版新社刊)を執筆。中東の某石油産出国の国王に呼ばれ、診療を行った経験もある。


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  • 武田 篤也
  • 2018.01.19