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「福」を呼ぶ縁起の担ぎ方、遊び方

福を招く! 年末年始のしきたり②

昔から年末年始は、新しい年の無病息災を願い、たくさんの福を招き寄せるための習わしが数多くあった。いまでは由来や理由が忘れられてしまったしきたりの意味を再確認してみよう(雑誌『一個人』2018年1月号より)。

「福」を呼び込む縁起担ぎ

[初夢]……一年の無事を祈っていい夢を見よう
 1月1日~2日、もしくは2日~3日の間の夜に見る夢。縁起のよい初夢を見るためには、枕の下に宝船に乗った七福神の絵を入れておくとよいとされる。これは、七福神参りに行った際に、神社などで授与していただけることが多い。この絵に、回文(かいぶん)を書いておくと、さらに効果的とも言われる。「長き夜の遠の睡りの皆目醒め波乗り船の音の良きかな」の文章が有名だ。

[書き初め]……上手下手より文字を書くこと自体が大事

 

 文字自体に芸術性や宗教的な力があると考えられるため、上手に書くことより、何を書くかが大切である。各自、この一年で向き合っていきたいテーマを考えて文字を選ぼう。好きな和歌や漢詩などでもよいし、自分で作った詩歌でもよい。できればきれいな湧き水(若水)をどこかで汲んできて、恵方に向かって書こう。1月2日に行うのは、仕事はじめという意味もあるためだ。

[初日の出]……心身を浄化し大きなパワーを得る
 太陽は、神道においては天照大神(あまてらすおおみかみ)の象徴、仏教においては大日如来の象徴。いずれも世界の中心となる神仏である。年のはじめに上る太陽の光を浴びることにより、心身が浄化され、大きなパワーを得られる。近年では、初日の出の人気スポットと言われる場所も多く、どこで何時に初日の出が見られるかを、インターネットで簡単に調べることができる。

[七草粥]……正月のごちそうで疲れた胃腸を整える
 1月7日に7種の草花をお粥に入れて食べる風習で、原型は中国から伝わった。春の到来を祝い、一年の無病息災を願う気持ちが込められている。また正月のごちそうで疲れた胃腸を休めるという意味もある。七草の種類は諸説あるがスズナ、スズシロ、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザがよく知られる。七草とは言わずとも旬の野菜を2、3種入れたお粥を楽しんでみては。

 
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田中 治郎

たなか じろう

1946年、宮城県生まれ。横浜市立大学卒業後、出版社に勤務。現在は仏教書やエッセイなどの執筆にあたる。著書に『面白いほどよくわかる日本の宗教』『くじけない心をつくる禅の言葉』(以上、日本文芸社)など多数。


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