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現代に受け継がれる祭りの風習

同じ釜の飯を食うことには意外な意味があった!?

◆コミュニティ形成の意味もあった「共同飲食」

 祭りといえば、盆踊りや阿波踊りなどの舞踊、そして山車や神輿が華を添える。現在では観光化が進み、参加や鑑賞を楽しむものと変わっているが、その多くは元々、神々に奉納されるために行われていた。祈祷や慰霊などの意味が込められていることがほとんどだ。

 しかし、「お祭り騒ぎ」という言葉があるように、神仏や先祖への祈りは建前になっているのが現状ではないだろうか。奉納などの儀礼は厳かに行われるが、それ以外は非常に賑やかな催しだ。地域内外から人が集まり、酒やごちそうとともにどんちゃん騒ぎをする。すべてのプログラムが終了しても、打ち上げと称して場所を変え、夜通し盛り上がることは珍しくないだろう。

 

 この宴に供される酒や料理は本来、神に捧げたものである。それをいただくこと(直会:なおらい)により、神とのつながりをより強めるという意味合いもあったという。現在でも、伊勢神宮をはじめとする神社では、その年に収穫した米などを奉納し、それをいただく新嘗祭(にいなめさい)を行っている。大地の恵みに感謝する祭りだ。

 かつての日本でも、各地で収穫を祝い、神に捧げたあと、それを皆で分け合うという祭りが行われていた。こうした共同飲食は、人々が楽しむだけでなく、共同体というコミュニティを形成する意味でも大きな役割を果たしていた。「同じ釜の飯を食う」といわれるように、ともに食事をすることは、仲間意識を高める効果がある。

 
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