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江戸時代にもペットブームがあった

金魚に虫、〇〇も! 古今ペットブーム

 現代は空前のペットブームだ。犬猫はもちろんのこと、鳥や爬虫類、さらにはハリネズミなどの珍しい動物を愛でる人も少なくない。

 昔から人々は動物とともに暮らしてきた。しかし、ペットとして飼育していたのは貴族や武士などの階級の人々が中心で、多くの庶民は家畜や使役動物として生活をともにしていた。犬猫と暮らしていたとしても、いまのように家族の一員としてかわいがるようなものではなかったかもしれない。

 

 江戸時代になると、庶民のあいだにもペットブームが起こる。中期には量産化が可能になり、価格が下がってきた金魚を買い求める人が増え、金魚ブームにわいたという。当時の浮世絵には、金魚売りや金魚すくいに興じる人々の姿が描かれていることからも、関心の高さがうかがえるのではないだろうか。

 

 このころには、「虫聞き」といわれる娯楽も存在していた。秋になると野山で虫の声を聞くという、とても風流なものだ。こうした文化の発達に合わせるかのように、スズムシの生産技術が発達し、江戸の町には「虫売り」なる商人が闊歩していたという。虫を育てるためのカゴも、デザイン性が次第に高まっていった。

 江戸時代が終わり明治になると、今度はウサギブームにわいた。繁殖力が高いうえに、愛玩用としてだけでなく、肉や皮も売れるということで、人々はこぞってウサギを飼った。多くの飼育書が出回り、ウサギ1羽に対して1円の税金が課せられるほどだったという。しかしブームは長続きせず、数年で終焉を迎えた。

 こうして現代に至るまでさまざまなペットブームが起きたが、どのような動物にも命がある。「かわいい」「流行っているから」という安易な感情に流されることなく、迎えたからには最期まで責任を持って育てたいものだ。

 雑誌『一個人』12月では、「維新150年! 謎とロマンに満ちた動乱期"幕末・維新"の時代を歩く。」と題した特集を組んでいる。ウサギバブルにわいた維新後の東京は、どのような表情を見せていたのか。こちらもぜひチェックしてほしい。

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