◆地方大学の存在価値

 一方、国立大学に限った例ではあるが、四国地方ではある可能性が検討されている。
 高知大学、徳島大学、愛媛大学、香川大学、そして鳴門教育大学の五大学が連携し、入試の門戸を一つにする試みである。また、授業の共同化についても模索中だ。教育・研究の不十分な点を、国立大学が相互に補い合う環境が実現するかもしれない。
「このように地方の大学同士が結びつくのは、学生に多様な選択肢を提供するという意味でも、非常に重要なことだと思います。これまで、一つの国公立大学法人のもとに複数の大学が運営される『アンブレラ方式』が検討されることがありましたが、実現することはありませんでした。今後、四国の五大学のような例が増えていけば、完全なる『統合』ではなくても実質的な『連携』が可能になると思います」。

 前回のコラムでは、地域連携事業を積極的に行っている地方の大学をいくつか取り上げたが、大学どうしの結びつき、地元との結びつきが強まってくれば、自ずと大学の価値も高まっていくのではないか。木村さんは続けてこう話す。
「東京の大学間競争では、定員割れが続いている大学は、市場競争で敗れざるを得ません。しかし、市場原理を地方に当てはめたら、大学も過疎化していく可能性があります。連携により地域での存在価値を高めることによって、生き残りをはかることが大切なのではないでしょうか」。
 大学業界の未来は決して明るくはないが、地方の大学にとっては新たな魅力を備える最後の、かつ絶好の機会になるかもしれない。