カネがないとできないことを、カネがないのに、カネの合法的調達もできないのに、しないことだ(藤森かよこ【馬鹿ブス貧乏】⑤) |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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カネがないとできないことを、カネがないのに、カネの合法的調達もできないのに、しないことだ(藤森かよこ【馬鹿ブス貧乏】⑤)


「誰も本当のことを言わないから、ブスで馬鹿な私が本当のことを言う!」と元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)アイン・ランド研究の第一人者である作家・藤森かよこ氏がペンで立ち上がった。
 氏のものした『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』(KKベストセラーズ)は4刷を超え(以下、「馬鹿ブス貧乏」と表記)、多くの女性を勇気づけた「革命の書」である。アラフォー読者からの要請が殺到。今月21日より、第2弾
『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。が出版される。
 そこで、今回、藤森氏のご厚意に預かり『馬鹿ブス貧乏』の長いまえがきから第1章まで再構成し、「若いほど」役立つと低スペック女子が37歳までにやるべき本当のことを転連載で教えてくれる。まさに「馬鹿ブス貧乏」で生きるしかない女性が最高に幸せになる本当のサバイバル術である!


■基本はひとり

 

 この記事を読んでいるあなたの立場はいろいろでしょう。独身かもしれない。既婚かもしれない。内縁関係かもしれない。同性愛者かもしれない。子どもがいるかもしれない。子どもがいないかもしれない。養子を育てているかもしれない。

 この記事は、女性のさまざまな境遇の違いを敢えて無視している。どう生きるにせよ、あなたが自分で自分の人生に責任を負わねばならないことは同じだ。独身も既婚も子持ちも子なしも関係ない。

 どっちみち死ぬときは、ひとりだ。家族に囲まれてご臨終だろうが、孤独死だろうが、大地震で瓦礫(がれき)につぶされようが、核ミサイルによって蒸発しようが、大差はない。

 死ぬ瞬間に、あなたが自分の人生を肯定できるかどうかがポイントだ。何をするにしても中途半端でブスで馬鹿で貧乏だけれども、この人生ゲームを捨てずに逃げずによくやってきたね!健気(けなげ)だったね!と自分の頭をナデナデできるかどうかがポイントだ。

 ここには、あなたにとって不快なことも書かれているかもしれない。ブスで馬鹿で貧乏なあなたは、たたでさえ不用心に無思慮に生きるはめになりやすい。そんなあなたが、それなりに世の中を渡っていくための大雑把な指針が、書かれているのだから、耳障(みみざわ)りなはずだ。

■前もって書いておく大指針

 この「長いまえがき」の最後に、ブスで馬鹿で貧乏なあなたが常に常に留意しておくべきことを書いておく。

 ともかく、現実と幻想をゴッチャにしないこと。これは、現実なのか、自分の思い込みや願望に過ぎないのか、世間に流通している類のほんとうは根拠のないファンタジーでしかないのか、常に考えること。

 一般通念とかその時代の支配的考え方は、所詮はファンタジーであるかもしれないと常に疑うのは、馬鹿なあなたにとっては面倒くさいことだ。でも、あなたは馬鹿で貧乏だからこそ、この種の一般通念に騙されやすい。どうでもいいことに悩みやすい。

 現実とファンタジーを区別するということは、自分にできることとできないことを区別するということでもある。自分はひとかどの人間だとか有能だとか善意の塊(かたまり)とか錯覚しないことだ。

 カネがないとできないことを、カネがないのに、カネの合法的調達もできないのに、しないことだ。これは、個人でも組織でも同じことだ。私たちは政府ではないので、通貨発行権はない。

 こんなことあたりまえだと思いますか? ところが、あなたはブスで馬鹿で貧乏なので、こんなあたりまえのことがわからないし、できない。何とかわかり、できるようになっても、ちょっと油断すれば、元のように脳の中は現実とファンタジーがゴッチャになる。だって馬鹿だもん。

 ただし、時には、自己治癒(ちゆ)活動としてファンタジーの中に逃げ込むことも必要だ。健康にいかに悪くとも、甘い食べ物が必要なときがあるように。現実を直視するエネルギーを取り戻すために、逆説的に現実逃避もしなければならないときがある。

 私も疲れると、現実逃避でアニメの『キングダム』を視聴して、空(から)元気をつける。心が乾燥すると、韓国テレビドラマの傑作の『トッケビ』を視聴して、ロマンチックな優しい気分になる。

 また、現実の状況を超えるためのヴィジョンという積極的ファンタジーも必要だ。この種の積極的ファンタジーは昔から「理想」と呼ばれてきた。

 私は、この世に救済(きゅうさい)はないしユートピアも実現しないと思ってる。なのに、人類は匍匐前進(ほふくぜんしん)ながらも「理想」に向かっているとも信じている。矛盾している。矛盾していたっていい。私が矛盾していたって、誰にも迷惑はかからない。

 現実はいつも泥臭くダサくて哀しく矮小で貧乏くさくて意味不明だ。でも大丈夫。馬鹿でもブスでも貧乏でも、きちんと生きていれば、そんな現実を受け入れ愛することができるようになる。疲れたら、ちょっとの間だけファンタジーに逃げ、元気になったら、また現実とおつきあいすればいい。

(第6回につづく馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』より再構成

KEYWORDS:

年末年始「最大」の問題作
低スペック女子(馬鹿ブス貧乏)
「ホンネ」の生き残り術第2弾‼️

藤森かよこ・著
『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』

12月21日より全国書店・アマゾンほかにて発売‼️

 

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藤森 かよこ

ふじもり かよこ

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課 程満期退学。福山市立大学名誉教授で元桃山学院大学教授。元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)である、アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者。アイン・ランドの大ベストセラー『水源』、『利己主義という気概』を翻訳刊行した。物事や現象の本質、または人間性の本質を鋭く突き、「孤独な人間がそれでも生きていくこと」への愛にあふれた直言が人気を呼んでいる。  

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