北海道ワインと楽しみたい地域ブランド化するチーズ工房

「ワイナリーの増加は、起こるべくして起きました。北海道の農地面積は広く、環境が適しているため品種の制約を受けにくい。またブドウの需要があれば後継者も確保しやすく、新規の農家に畑を譲ることもできる。ワイン作りが地域貢献にもなっているのです」と、阿部さん。行政の後押しもある。北海道庁は新規のブドウ農家やワイナリーに向けたワインアカデミーを開催、しっかりとした教育のもと北海道ブランドの確立が行われることを目指している。

 ワイナリー以上に数を増やしているのがチーズ工房だ。すでに道内の工房は100ヵ所を超えた。工房単位で特色を出していくだけでなく、いくつかの工房が協働して地域を“ブランド化”して売り出す取り組みもある。

「今後、求められるものは、北海道の食とワインを現地でどう楽しむかです。これまでは作り手のこだわりや、ブドウの品種などテクニカルな部分の発信が多かったが、北海道のワインが選ばれるためには、『そのワインに合う料理は何か』、『どういったシチュエーションで飲むのがいいか』など、具体的な食とのマッチングを提案することが必要です」と阿部さんは力説する。

 阿部さんが代表をつとめる『NPO法人ワインクラスター北海道』では、独立・中立のマーケティング機関としてワイン業界と行政機関などをつなぎ。国内外向けて北海道産ワインの魅力を発信している。また、小樽運河ターミナル内に「北海道・ワインセンター」を開設。ワインやワインに合う道産食品の販売を行うほか、ワインの特徴や北海道のワインづくりの歴史、ブドウの品種などを聞きながらテイスティングできる「ワイン・テイスティングアドベンチャー」や、旅行事業免許による「ワインツーリズム」を実施。好評を博している。

 現在発売中の雑誌『一個人』11月号では、「ワイン&チーズ」と題した特集を組んでいる。北海道の旅の楽しみに、ワインとチーズとの出会いを求めてみてはどうだろうか。