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紛争アクターを「幻滅」させよ! これがミレニアル世代の解決策

ギャングや過激派を味方にするのが一番効率的だ。

「ミレニアル世代」の国際協力

ーー現代の若者は新しい価値観を持った「ミレニアル世代」とも呼ばれますが、国際協力の分野でも価値観の変化を感じますか?

 ミレニアル世代の特徴として、次の三つが挙げられています。①デジタルネイティブ、②既存の枠組みにとらわれない、③「マイメン=自分の仲の良い身内」には尽くす、ということです。この二つ目の特徴は、他に流されず自分のスタイルを構築する、ということでもあります。僕自身も、大学院を出て三年間くらい働いてから国連に勤めて……なんていうレールを無視してやってますから(笑)。ただそういう感覚でみんながみんな好き勝手やってしまうと、組織として動くことが難しいとも言えます。僕たちのメンバーで言えば、ひたすら使命感を焚き付けて、おれたちでやるしかないんだという意識を共有することで、組織経営を帳尻合わせで成り立たせていますね。

 三つ目の特徴とはつまり「自分ゴト」にしか動かないということですが、言い換えれば、自分ゴトには動く。自分ゴトを増やしたり、広げることさえできれば新しい可能性が拓けてくると思います。ただこれも「マイメン」には尽くすからと言って、仲良しごっこになってしまっていいのか、そこは疑問があります。国際協力という分野では昔から、みんなが手をつないで歩んでいけば何でもできるという空気がありますけど、どうもムズムズするんですよね。

 もちろん自己肯定感とか変な自信が生まれることは否定しませんけど、 むしろ「お前違うぞ」と言われたら、「おれの意見はこうだよ」というやり取りが生まれるのがミレニアル世代ですから。 仲良くやるのもいいけど、ディスカッションポイントを作って話し合った方が価値があると思うんです。

ギャングを辞め故郷のモガディシュに戻って生きている元ギャングと
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永井 陽右

ながい ようすけ

NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事。1991年神奈川県生まれ。2015年3月早稲田大学教育学部卒。2016年12月ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの紛争研究修士課程卒業。早稲田大学在学中にソマリアの大飢饉と紛争の問題を知り、NGO「日本ソマリア青年機構」を設立。2017年よりNPO法人化し「アクセプト・インターナショナル」の代表理事を務める。第28回人間力大賞(外務大臣奨励賞)、小野梓記念賞特別賞など受賞多数。


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  • 2017.09.01