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のと里山里海号で能登の海を眺める旅

芸術的な車内と三つのビュースポット、そして温かいおもてなし

 能登(石川県)の和倉温泉に親族4人で泊まった日、時間があったので、のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」に乗ってみた。

 平日はカジュアルコースという予約不要の列車、ただし団体客で満員になることもあるので、電話連絡して確認してくださいとホームの案内板に出ていた。一応携帯電話で連絡してみると、途中駅から団体客が乗ってくるとのこと。その駅まででしたら確実に座れますと意外な回答だった。

のと里山里海号(七尾駅にて)

 平日は、青い「のと里山里海号」車両と一般車両の併結運転。場合によっては、途中駅で一般車両に移動することになるかもしれない。それでも、せっかく来たのだから、短区間でも乗ってみたいと思い、和倉温泉駅から、列車の始発駅となる七尾駅まで移動した。

 七尾駅で停車中の青い「のと里山里海号」車両に乗り込む。アテンダントさんが、整理券300円が必要ですよという。お金を払いながら、途中駅から団体客が乗ってくるのですか?と尋ねると、「はい、でも多少席に余裕がありますし、団体さんには詰めて座ってもらいますから大丈夫ですよ」とのことだった。「途中で降りなくてもいいのですね?」「もちろん、終点までお乗りいただけます」さきほどの電話案内とは違った回答だったので、ほっと胸を撫でおろした。

 列車は、私たち一族4人で貸切状態である。海側になるという窓を向いた席を確保し、さっそく売店でドリンクを購入し、リラックスして旅を始める。

 車内には、ソファー席やボックス席、運転台横の展望席など多様な座席がある。ところどころにある間仕切りは、沿線にある田鶴浜の伝統建具の技法を取り入れ、細かく加工した組子は、幾何学模様みたいで芸術的だ。その一部には鶴や牡丹など間仕切り毎に異なる絵を配置し変化を付けている。さらに、ショーケースの中には輪島塗などの伝統工芸品が置かれ、ミニギャラリーとして華やかさを演出していて好ましい。

窓向き席とソファー

ショーケースのある車内

 団体客が乗ってこないうちに、車内を回って見学がてらカメラに収める。また、ソファー席でアテンダントさんにシャッターを押してもらい記念撮影も済ませた。

 列車は、和倉温泉駅を過ぎ、家具の町田鶴浜駅、笠師保駅と停まっていく。後部の一般車両は、高校生や地元の人たちで乗り降りがあるものの、特別車両には誰も乗ってこない。ゆったりした気分で田園風景を眺める。サギだろうか、白い鳥が2羽、田圃の真中で戯れていた。

 次の能登中島駅では10分停車するという。ホームの反対側には、今や全国で2両しか保存されていない鉄道郵便車が置いてあるとのこと。アテンダントさんが、郵便車の入口まで案内してくれた。車内を自由に見学してくださいと言われたので、中へ入ってみる。

能登中島駅で鉄道郵便車を見学
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