■明から帰ると一躍スターに

 雪舟にとって中国行きの何よりの収穫は、当時流行していた浙派と出会えたこと。雪舟は現地で『四季山水図』を描きますが、まさに荒々しい浙派のスタイルそのものです。雪舟の元々の画風と相性もよかったのでしょう。

 それで、雪舟は大きな自信を持って帰国します。さらに、本場の絵を見てきた画家として、周囲から持ち上げられたこともあり、以降の雪舟の画はどんどん変わります。遣明船以前は、荒っぽい自身の画風に反して、端正なものをちまちま描こうとしていたのが、スケールが大きくなって大胆になるのです。国宝に指定されている作品も、帰国後のスケール感のあるものが多いですね。

 例えば『秋冬山水図』。サイズの大きい画ではありませんが、空から壁が降っているような、大胆な構図が素晴らしい。また、『慧可断臂図』は、畳1畳ほどもある大作。弟子になろうと達磨を訪ねた僧侶が、達磨に無視をされ、自分の腕を切り落として差し出す場面には、緊張感が張りつめています。

次のページ ■中国に渡ったアピールを欠かさない一面も