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リボ払いにカードローンの激甘審査。返済能力以上の借金を負わせる制度は異常だ

【借金問題】を藤田孝典氏が徹底解説2/3

「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます。

第一回:増える「贅沢していないのに借金をする」人。今や貧困は全世代の課題だ

各ライフステージで積み重なる借金 そのワケとは?

シズカ…「借金問題」について、前回は、「物価は高いままなのに賃金が減ったせいで、借金する人が増えている」ということを、藤田先生に教えてもらったね。

トオル…普通の金銭感覚の人でも、生活のために借金をせざるをえない社会というのは、なかなかハードモードだよね。

藤田…暗い話になってしまいましたが、10代の若年者から高齢者まで「死ぬまで何かしら借金をして穴埋めしないと生活が苦しい」という人が増えているのが現実です。

シズカ…ライフステージ全体を見た時に、学費や住宅費や医療費など、各年代で借金をする理由は違うけど、それらを返済する間もなく、借金というのはどんどん重なっていくものなのかしら。

藤田…そうですね。若い頃に奨学金なり学生ローンなり借金をして、さらに社会人となったあとも、車や住宅ローンなど借金をする。それが膨らんでいく、という構造があります。

トオル…でも、高度経済成長ぐらいから車とかマイホームのローンなんかは当たり前のことでしたよね。僕の両親も祖父母もローンを組んで家を建てているし。

藤田…日本の景気が良かった時代はそれでも大丈夫だったんです。もともと、日本の終身雇用制度では、20代から40代まで給料が低くて当たり前。そのため、車にしてもマイホームにしても、借金をしないと手に入れられなかった。それでも、頑張って同じ会社で働き続ければ、50歳を過ぎたあたりから待遇がぐっと上がって、それなりの退職金も得られた時代がありました。借金をしても返せる見通しがあったんです。1990年に連載が始まった『クレヨンしんちゃん』が、80年代後半から90年代の家庭のいい例でしょう。

シズカ…そういえば、お母さんのみさえは29歳で専業主婦、お父さんのヒロシがサラリーマンで一家の大黒柱で、埼玉の春日部に2階建てのマイホームをローンで建てているし、おまけにマイカーも持っていて、犬まで飼ってるわ!

トオル…お父さんのヒロシは35歳の設定だったけど、かなりのスペックだよね。

藤田クレヨンしんちゃんを現代版にすると、みさえはパートに出ないといけないし、しんちゃんも今後奨学金で大学に行くことになるでしょう。今は年功序列制が崩壊し、賃金そのものが低くなっていますから、ヒロシは50代になってもローンを返せるとは限りません。

シズカ…昔も借金そのものは珍しいことではなかったけど、順調に返せることが前提だったんですね。今はそのあてがなくて、借金自体がどんどん膨れ上がる家庭が増えている。

トオル…なんだか世知辛いな…。

藤田…日本の社会は、個人に自立を強いる仕組みになっています。生きるのに必要なライフラインもすべて給与や貯蓄で賄うような仕組みになっていて、もしそれができなかったら家族が負担する。しかし、すでに賃金そのものが低くなっているため、以前の家族制度も機能せず、家族それぞれを養いきれなくて苦しんでいる。それにも関わらず、借金しなくても済むように家計を補助する社会保障制度や社会手当は旧来のままです。

シズカ…その歪みが「借金問題」として表面化しているのね。

 
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