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戦国武将が乗っていた馬は、ずんぐりむっくりとしていた

木曽馬とサラブレットの違い

木曽馬

 乗馬には、セレブな趣味というイメージがある。サラブレッドにまたがり、野原を颯爽と駆け抜ける姿にあこがれて、乗馬を始める人も少なくないだろう。
 サラブレッドといえば、戦国時代をテーマとした時代劇では欠かせない存在だ。主人公の足として、騎馬隊の一員として活躍するわけだが、じつは戦国時代の日本にはサラブレッドがいなかったというのだ。

 サラブレッドは17世紀初頭、イギリスでさらに強く速い馬を生み出すために交配をしたことがはじまりとされる。日本に輸入されたのは明治10(1877)年のことで、それから畜産がスタートしたという。
 それ以前は農耕馬である「木曽馬(きそうま)」が軍用馬として用いられていた。サラブレッドのようなすらりとした肢体ではなく、胴長短足が特徴である。いわゆる、ずんぐりむっくりとしたボディをしていたわけだ。

 足腰が強く、荷物を運ぶにも適しているが、ドラマの戦闘シーンに登場したらどうか。イケメン俳優たちが迫真の演技で戦いを繰り広げるわけだが、そこに木曽馬が登場したら緊張感が薄れてしまいそうである。こうした見た目の問題もあり、現在では史実とは違えどサラブレッドを起用するようになったのかもしれない。

 この木曽馬は日本の在来種であり、繁殖能力が高いといわれている。しかも、病気になりにくく、粗食でも大丈夫。温厚な性格がゆえに育てやすく、その働きぶりが日本を支えてきたといっても過言ではない。
 それにもかかわらず、戦前には絶滅寸前まで追い込まれた。軍馬として徴発されたうえに、外国馬が重宝されるようになったことも大きい。終戦後には、約50頭しか残されていなかったという。

 この血脈を守るべく、1969(昭和44)年には木曽馬保存会が結成された。さらに、1983(昭和58)年には長野県天然記念物に指定され、現在は約160頭の木曽馬が存在するという。
 長野県「木曽馬の里」には木曽馬乗馬センターがあり、約30頭を保護・育成している。体験乗馬も行っているので、サラブレッドと乗り心地などを比較するのもおもしろそうだ。

『一個人』10月号では、「カラダとココロが喜ぶことをはじめよう!」として、体を動かす趣味を特集している。そのなかで、乗馬をはじめとするさまざまな動物アクティビティを紹介しているので、ぜひチェックしてほしい。

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