子供を産めない女=「石女(うまずめ)」

「子供がいない人にはわからないわよ」

「子供を産んで育てて一人前」

 と言われたことがある人もいるかもしれない。いかにも前近代的なクソババアが言いそうなセリフだ。テレビドラマではスパイスのように使われている「母親マウンティング」である。独身や子なしの女に、上から目線で乗っかってくるヤツね。

 私自身はそんなことを言われた経験はない(あっても忘れているのかもしれないが)。わかりやすい母親マウンティングに対して、世間は今、非常にセンシティブだ。むしろ子供がいない人がいる時は、子供や子育てに関する話をしないように気遣ってくれることのほうが多い気がする。特に不妊治療を受けていた人に対しては、あえて話題を逸らしてくれることもある。個人的には、そこまで避けなくてもいいのになぁと思うが、不妊で悩み苦しんで、ピリピリした空気を醸し出してしまう人の気持ちも痛いほどわかる。

 昔に比べたらまだマシ。昔といっても私が生まれる前の超昔の話だが、子供を産めない 女は「石女」と烙印を押される時代があったのだから。石女と書いて、うまずめ。ひどい言葉だ。そんな時代じゃなくてよかったと心の底から思う。思うのだが、政治家(特に自民党)の女性に対する暴言が頻繁に繰り返されるので、根本は変わっていないのだろう。

 子供のいない人が、自分を卑下しなくていい世の中になりますよう。家族構成や属性で優劣をつけない世の中になりますよう。まずは自分の中の引け目をなくすことだ。〈『産まないことは「逃げ」ですか?』(著・吉田潮)より構成〉