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なぜ人は祭りのとき裸になるのか?

「祭り」の不思議 素朴なギモン①

日本全国、どんな地域にも祭りの文化は根付いている。ここでは意外と知られていない、祭りの基礎的な知識や、歴史をQ&A式で紐解いていこう(『一個人』2017年8月号より)。

Q.日本には一体いくつの祭りが存在するのか?  

数え切れないほどの祭りがある
 日本に存在する祭りの数を、明確に表すことは難しい。日本における「祭り」という言葉が指すものは広く多様で、かつては葬式以外の集団で行う行事のことはすべて「祭り」といった。同じ祭祀を源流に持っていても、それぞれ独自の発展をとげ、その数は無数にある。
 

Q.なぜ祭りで人は踊るのか?  

写真:photolibrary

踊りで死者の魂や神々を慰撫する
 踊る祭りの代表格といえば、「盆踊り」や「神楽」があげられる。祭りと踊りには密接な関係があり、踊りによって死者の魂を慰撫したり、神々を演舞でもって接待するなど、それぞれ意味がある。また舞い踊ることでトランス状態に入り、神に近づくことができるともされていた。

Q.なぜ裸になるのか?  

心身を清める禊みそぎの名残
 神社でお参りをする時、手水舎で手や口を清めてから社殿に向かうが、これはもともと裸になって禊ぎを行っていたのを誰でもできる形に変化させたもの。祭りの際に裸になるのは、その名残だ。清めの意味を持たせながら、パフォーマンスとしても祭りを盛り上げる。
 

Q.なぜ火や水が伴うことが多いのか

火で神々や霊魂を招き、水で清める
 火には道しるべとしての役割があり、神々を迎え入れるための場所や、死者の魂が還る場所を示すために使われている。また水には心身や場を清める役割がある。祭りに火や水が伴うことが多いのには、炎で道案内をし、水で清めた場に招くという理由があるからだ。

『一個人』2017年8月号より構成〉

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神崎 宣武

かんざき のりたけ

民族学者・旅の文化研究所所長



1944年、岡山県生まれ。国内外の民族調査・研究に従事。現在「旅の文化研究所」所長。2010年「国民文化祭」総合プロデューサー、文化庁文化審議会委員などを務める。郷里の岡山県宇佐八幡神社の宮司でもある。著作に『「まつり」の食文化』(角川書店)など。


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