【難病・魚鱗癬】感染が命の最大のリスク、だから「医師よりも、お母さんが一番の先生なんです」———若き母、息子の難病の先輩から「気づき」を得る |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【難病・魚鱗癬】感染が命の最大のリスク、だから「医師よりも、お母さんが一番の先生なんです」———若き母、息子の難病の先輩から「気づき」を得る

難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(46)


 難病「道化師様魚鱗癬」を患う我が子と若き母の悲しみと苦しみ。「ピエロ」と呼ばれる息子の過酷な病気の事実を出産したばかりの母は、どのように向き合ったのか。『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』著作を綴った「ピエロの母」が医師から病名を宣告された日、母は我が子の「運命」を感謝しながら「これからの親子の人生を豊かなものにしよう」と新たなる決意をした。
 今回は、息子の陽くんの「病気」の先輩をたずね、魚鱗癬という病気でも人生は豊かに暮らせること、その「気づき」を若き母は綴りました。


■もうひとりの魚鱗癬

 梅本遼さん(本人)と千鶴さん(お母さん)を訪ねて

 魚鱗癬(ぎょりんせん)の子として生まれた梅本遼さんは、今年24歳。皮膚の症状や日々の暮らしに伴う困難と付き合いながら学校を終え、今は地元の教育委員会に職を得て、嘱託として働いています。

 2週間に1度、変形した右手指のリハビリに。また2か月に1度、経過を診てもらうために久留米の大学病院へ通う必要はあります。

 症状はだいぶ落ち着いて来て、仕事をする喜びにあふれる毎日を送っています。お母さんは患者会代表の梅本千鶴(ちづる)さんです。

 ここに至るまで、何度か命の危機もありました。皮膚が魚のウロコみたいで、乾燥してボロボロと落ちる病気だといわれても、それがどうして命の危機につながるのか、一般にはなかなか理解してもらえません。

 一口でいうと、患者の命を脅かす最大のリスクは「感染症」です。

 ふつうの健常な皮膚は、皮膚表面に住み着いている様々な菌などを含め、外敵が侵入してくるのを防ぐバリア機能があります。したがって皮膚からの感染症にかかるのは、外傷を負ったとき傷口が膿(う)むくらいで滅多にありませんが、魚鱗癬ではこの機能が極端に低下していて、菌やウイルスなどの侵入を許してしまいます。すると重要な臓器に達し、そこで大繁殖をして臓器不全などになってしまうケースがあるのです。

 用心のために遼さんの場合、乳児期は「完全滅菌の生活をしてください」と、医療施設から言われました。ミルクなど口から入れるものはもちろん、被服についても肌着やタオルなどは1週間分をお父さんが医療施設に持っていき、そこで処理をしたものを家へ持ち帰って使うのです。お母さんは服に菌が付かないようにビニールの手袋をして、処理した服を遼さんに着せる、という繰り返しで、これを数年間続けました。

 その期間はどうにか乗り越えたのですが、遼さんは5歳のとき、皮膚表面などに普通に付着して住み着いている常在菌の溶よう連れん菌きんに感染して、危うい目にあいました。

 体調が悪くて地元の医療センターに入院したのですが、37 度くらいの熱が認められるだけで、いったん家へ帰りました。ところが途端に40度を超す発熱。血尿にもなって、再度、検査をすると腎不全の一歩手前で、急遽、専門医のいる久留米まで救急搬送されました。

 腎臓の血液を濾過(ろか)する機能が喪失しており、身体中に毒素があふれている危険な状態。人工的に血液を濾過する透析が検討されましたが、治療に耐える体力がないので、かえって身体に致死的なダメージを与えるリスクがありました。
 結果的には薬物治療が功を奏し、危機を脱したのですが、ボーダーでの専門医のギリギリの判断。そんな局面に陥(おちい)る前に適切な処置をとるべきだったと、医療サイドでのやりとりがあったことを後日談として聞きました。

 この〝事件〞をきっかけに、遼さんのお母さんは、専門医の言った「医師よりも、お母さんが一番の先生」という言葉を噛み締めました。

 同じ発熱でもカゼの熱か、感染による熱かを自分で区別でき、「さすがお母さん」と言われるくらいでないと、魚鱗癬の子は育てて行くのは難しいと、自身に言い聞かせ、病気についての知識をさらに身につけるべく決意しました。

次のページ危惧していた感染症にかかった遼さん

KEYWORDS:

『魚鱗癬の会 ひまわり』

代表:梅本 千鶴
連絡先:〒804-0082 福岡県北九州市戸畑区新池3-2-13
E-mail gyorinsen1998@yahoo.co.jp
ホームページアドレス http://gyorinsen.blog.fc2.com
魚鱗癬でお困りの子どもさんやそのご家族のための集まりです。

【参考文献】

『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』(アメーバブログ)

産まれてすぐピエロと呼ばれた息子(書籍)
ピエロの母

 

 

本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。

「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」

このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。

陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。

また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。

障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。

◆ピエロの母のアメブロ「産まれてすぐピエロと呼ばれた息子」

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ピエロの母

50~100万人に1人の割合で生まれてくると言われる「道化師様魚鱗癬」という難病を患った長男を出産。出産から現在に至るまでの闘病を記したブログは反響を呼び、Amebaブログではすでに3000人以上のフォロワー数がおり、また同ブログのハッシュタグ記事ランキングの『#難病』部門では、トップランキング入りすることも多数ある。1987年生まれのO型。関西某県の田んぼと山が見渡せる長閑な田舎暮らし。元保育士で現在は専業主婦。


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産まれてすぐピエロと呼ばれた息子
  • ピエロの母
  • 2019.11.09