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平成10年制定、ハッピーマンデー法とは?

キーワードで振り返る平成30年史 第2回

ハッピーマンデー
~平成10年(1998)~

 

 社会人ともなるとまとまった休みが取れるのは年に3回ほどしかない。盆暮れ正月と今しがた過ぎ去ってしまったばかりのGWだ。気が早い人はもう次の祝日を心待ちにしているかもしれない。6月には祝日がないので次の祝日は7月の海の日となる。この海の日、数年前までは7月20日に固定されていたのだが、今は固定されていないからややこしい。 

 そう、平成に入ってから大きく様変わりしたことの一つに祝日がある。平成前夜はアメリカとの貿易摩擦の真っ只中。日本は働きすぎだと非難を受け、ワーカホリックという言葉も流行。時任三郎扮する牛若丸三郎太が24時間戦えるかと問うたドリンク剤のCMが大流行。これが平成元年から翌年にかけての出来事。今ならブラックだ社畜だと大炎上の末、CMは打ち切り必至だろう。

 そんなアメリカからの圧力に屈したわけでもないが、平成に入ると祝日は増えた。昭和末期に国民の休日を加えても13日しか無かった祝日は今では16日になった。みどりの日、先述の海の日、昨年追加された山の日が平成になってできた新たな祝日。うちみどりの日はかつての天皇誕生日。現在の天皇誕生日は12月23日だが昭和天皇の誕生日も名前を変えて祝日として残された。 

 平成10年制定のハッピーマンデー法で連休も増えた。ただしそのために日付固定だった祝日が第◯月曜日に変わって、油断してると祝日であることを忘れてしまうことも。東京五輪開会式の日付だった10月10日から10月の第2月曜に変更された体育の日のように日付に対する謂れが薄れてほんの少しさみしさも。連休の増加は既に経済大国ではなくなった日本にとって果たして良かったのか疑問もないわけではないのだが、一庶民としては6月に祝日がないのを恨めしく思いながら夏を心待ちにするのだった。

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後藤 武士

ごとう たけし

平成研究家、エッセイスト。1967年岐阜県生まれ。135万部突破のロングセラー『読むだけですっきりわかる日本史』(宝島社文庫)ほか、教養・教育に関する著書多数。


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