分かっていても止められない。C・ロナウドの″ワンタッチシュート” |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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分かっていても止められない。C・ロナウドの″ワンタッチシュート”

DF目線からストライカーの動きを読む

岩政大樹・現役目線第23回

■大きく変わったクリスティアーノ・ロナウドの得点パターン

 ヨーロッパチャンピオンズリーグは、レアル・マドリードの史上初の連覇で幕を閉じました。下馬評では五分と見られたユベントスを4-1というスコアで蹴散らしました。準決勝までの12試合でわずか3失点だったチームから4得点を奪うなど、誰が予想したでしょうか。
 なかでも圧巻はクリスティアーノ・ロナウドです。老獪で堅牢なユベントス守備陣の間をぬってペナルティーエリア内に侵入し、ワンタッチシュートで2得点しました。

 

 今のクリスティアーノ・ロナウドからは以前のイメージは完全に消失しています。ドリブルからのシュートはほとんど見られなくなり、ほとんどのゴールをワンタッチで決めるようになりました。それは単なる偶然ではなく、彼を見ているといつもワンタッチでシュートを打てるポジショニングをとり続けているのがわかります。

 スペインのある指導者の方が、「ストライカーとはペナルティーエリアに入ったら、頭のスイッチを切り替え、ワンタッチでシュートを打つことばかりを考えなくてはならない」と言っていたことを思い出します。
 以前、「たくさんのゴール数を目指すのであれば、スーパーゴールを求めていてはいけない」(第8回『ごっつぁんゴール」と「スーパーゴール」 得点を重ねる選手に必要な条件とは』)という話を書かせていただきましたが、ワンタッチでのゴールを増やすということはまさにそういうことです。

「ワンタッチゴールを狙う」

 言葉で言うのは簡単ですが、実際はどういうことなのかに(今回は)迫まってみたいと思います。

 
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岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


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