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戦後初めての相続税改正を、ご存知ですか?

最近、やたらと目にする「相続」と言うワード。「そんなの自分には関係ない!」と思っていませんか?

 平成27年、戦後初めて相続税の基礎控除が40%も減らされました。相続に関する法律や特例は、毎年のように改正され続けていますが、実際に相続を経験しないと、実感することは無いかも知れません。誰もが直面する相続について、知っておくと助かるポイントをお伝えしていきます。

 

 基礎控除の改正は、課税が少なくなったわけではありません。相続税の計算をする際、法定相続人の人数に応じて、故人の遺産総額から差し引いてくれる非課税の枠が40%も少なくなったということなのです。その結果、平成27年度に相続税が課税された人は、前年の83%増の10万3千人にものぼりました。

※法定相続人…法律上、財産を受け継ぐ権利のある人

 具体的には、4人家族のお父さんが亡くなってしまったとき、平成26年12月31日までは、5000万円+1000万円×3人=8000万円の基礎控除がありました。故人の財産が8000万円までは非課税で申告の必要がなかったのです。

 ところが、平成27年1月1日からは、3000万円+600万円×3人=4800万円の基礎控除になり、非課税枠は3200万円も減ったので、これまでは相続税の申告をしなくて済んだ家族が、申告をしなければならなくなり、課税される事になるかもしれないのです。

 知らずにいると、特例と言う別の非課税枠を使えなくなり、大きなリスクにつながってしまうかもしれません。背景のひとつに、遺産争いの増加があります。「うちは、大丈夫」「争う財産もないし、兄弟は仲がいいから」そう思っている方が多いと思います。でも、果たして本当にそう言い切れるのでしょうか。

 平成26年の司法統計によると、裁判所まで持ち込まれた遺産分けの争い件数は15,261件。そのうち、相続税の全くかからない5000万円以下の家族が11,445件にもなり、全体の75%を占めます。 

 

 私の事務所にも、同居していた母親を亡くし、妹の訴えで家庭裁判所から呼び出されてしまったという女性が相談にみえました。自宅は同居していた長女夫婦がリフォームし介護もしていたのにもかかわらず、6分の1が母名義の登記になっていたため、法定相続分として300万円を求められました。

 分けることのできない財産を(例えば自宅)、分けなければならないから、もめてしまいます。介護の負担は、なかなか考慮されません。親の死後、二度と会わない兄弟姉妹は後を絶ちません。他人事のように書いている私自身さえ、今は仲良くしている妹と、これからも仲良しでいられるかどうか自信はありません。生い立ち、それぞれの生活、介護への関わり方、経済状況、ちょっとした言葉のいき違いで、いつでも火花は飛びそうです。

 親が望んだのは、仲良く、それぞれが幸せに暮らしてほしい。ただ、それだけだったのでしょうに。本当に大切なことは、目に見えないものばかりです。親からいただいたものは、目に見える物だけではないのです。私たちは、それに気付かなければなりません。

 どうしたら皆が幸せでいられるか、時間をかけて考え、ご自分の人生を振り省ってみてください。相続税の基礎控除を知っておくことで、無用な争いを避けられるかも知れません。

 次回は、知らないと大変なことになる、「法定相続人」についてお伝えします。

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芹澤 貴美子

せりざわ きみこ

相続・事業(医業)承継コーディネーター。フィナンシャルプランナー。

淑徳大学卒業後、養護学校教員を経て、日本を代表する大手生命保険会社に入社。

顧客を守るため2003年10月、株式会社ライフ・プロデュースを設立。

「お客様が人生をかけて築いてこられたもの、想い、そしてお客様自身を守る」という理念のもと、2000人以上のライフプランニング、100社以上の法人コンサルティングを実施、サポートし続けている。

また、2014年よりコンサルティング教育の大西義塾も主宰し、

全国から100名以上のFPが、毎月学び続け、生命保険会社の社員教育や、各種セミナーを開催している。

著者自身も相続を経験し、獣医師と大手木造住宅メーカーに勤務する2人の息子がいる。

次世代につなげる様々な活動を実践し、特に医師家族の相続対策に強みをもっている。

単なる節税だけではなく、気づきにくいリスクを読み解き、未来を守る知識がある。

顧客一人ひとりの「想い」に沿ったコンサルティングは評判を呼び、

日本のみならず、世界各地から相談に訪れる家族が後を絶たない。


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