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60歳で起業。保険業界の開拓者が大事にする3つのこと

出口治明さん5月毎日更新 Q.12 自己投資として、若い頃から心掛けてきたことは何ですか?

ライフネット生命会長・出口治明氏が、常々口にする「人・本・旅」のススメ。ポイントは好きなものを選ぶこと。ひいてはそれが自己投資にもつながっていくのだ。

自己投資は「好きこそ物の上手なれ」が基本

 

 僕自身は、たくさんの人と会い、たくさんの本を読み、いろいろな場所を旅してきました。

 当時は、それが「自己投資」だとは考えていませんでした。

 そこから直接、何かを学ぼうとしていたわけでもなく、人と会うことも、本を読むことも、そして旅に出ることも、すべて面白いと感じたから実践していたに過ぎません。

 ただ、実際には、「人・本・旅」を通して、さまざまなことを学ぶことができました。

 世の中には、こんなにも素晴らしい場所があるのか、こんなにも素晴らしい人たちが存在するのか――。

 そうしたことを肌で感じてきたことが、僕の人生において、大きな支えとなっています。ライフネット生命を設立するときも、実は以前にお酒を飲みながら交流を深めた人たちに大変お世話になりました。

 もちろん自己投資は、自分自身の価値を高め、人生をより楽しくするためのものですから、好きなことであれば、何を選んでも構わないでしょう。

 それでも、そんな中で、僕の経験からおすすめしたいのが「人・本・旅」です。

 たとえば、本を読んで何かを知るということは本当に楽しいものです。「あっ、そうだったのか」と目から鱗が落ちたときの楽しさって、そうそうあるものではありません。

 でも、本もまた、好きなものを読まないと長続きはしないんですよね。

 先日、ある若者から「毎週本を読んでいるんですが、何一つ頭に入りません。どうしたらいいでしょうか?」という相談を受けました。

 そこで、どのような本を読んでいるのか尋ねたところ、「会社の上司から薦められた本を順番に読んでいます」とのことでした。

 その瞬間で、原因がわかりますよね。

 言うまでもなく、上司から「読め」と言われた本を義務的に読んでいたら、楽しいはずがありません。当然、目から鱗が落ちる体験などできないでしょう。

 だから、読書をするならば、義務的になることを避け、自分が興味を持っていることが書かれた本を好きなだけ読めばいいのです。そうすれば、内容が必ず頭の中に入ってくることでしょう。

 僕がそんなふうに伝えると、その若者は「なるほど。確かに嫌々読んでました」と言ってましたね(笑)。

 昔から「好きこそ物の上手なれ」という言葉があります。人は好きな物に対しては、おのずと熱中できるので上達が早いという意味ですが、本当にその通りなんですよ。

 これは本に限らず、人と旅に通じる考え方でもあります。それによって知識や経験を蓄積し、自分自身を賢くしているわけですから、まさしく自己投資以外の何物でもないでしょうね。

明日の質問は「Q.13 『人・本・旅』を通して自分を賢くすると、どんなメリットがありますか?」です。

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出口 治明

でぐち はるあき

ライフネット生命会長。1948年、三重県生まれ。京都大学を卒業後、日本生命に入社。企画部などで経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。ロンドン現地法人社長などを務めたあと同社を退職。2008年にライフネット生命保険株式会社を開業した。


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