ソフトバンク・川﨑宗則はすごい。活躍の鍵となる「間」――建山義紀の「野球プロ目線」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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ソフトバンク・川﨑宗則はすごい。活躍の鍵となる「間」――建山義紀の「野球プロ目線」

メジャー帰りのメリットとデメリットとは

「よくあの環境で頑張ったな……」

 川﨑宗則選手の日本球界復帰は、大きな話題となりました。先日には「日米通算1500本安打」を記録するなど、素晴らしい選手が日本に帰ってきたことになります。

 私自身も、アメリカから日本球界に復帰し、そこで現役を引退しましたが、メジャーから戻ってくることにはメリットもデメリットもあることを感じました。
 今回はそんなお話をしてみたいと思います。

「よくあの環境で5年間も頑張ったな」
 川﨑選手に対する私の思いです。マイナーとメジャーを行ったり来たりしながらプレーし続けることはものすごく大変なことです。過酷な移動をしながら日々試合をしなければならないマイナーリーグ。以前にも書きました(WBCで必要な「鈍感力」)が、この環境下でコンディションをベストに維持することは不可能です。絶対にどこかで疲れや怪我が出てきてしまう。重要なことは、置かれているベストなコンディションではないなかで、いかにベストなプレーをするか、ということでした。

 川崎選手はそうした環境で5年もプレーした。いかなる状況でもそこで全力を出す術を持ち、そのときの最善を尽くす技術を身に着けたその存在は、たとえレギュラーで試合に出られなかったとしても、チームに与えるポジティブな影響は計り知れないものになるだろうと予想されます。

 ともにアメリカでプレーしていた時代、キャンプ中に川﨑選手が私の自宅を訪ねてくれ食事をすることがありました。いかにメジャーで頑張っていきたいか、ということを話す姿に心を打たれたものです。

 メジャーは契約のしばりがいろいろと存在し、キャンプの段階で、いわゆる「メジャー契約」の選手の数を数えていくと「おいおい、自分の居場所、最初からないぞ」と思うことはしばしばでした。過酷な日々だけでなく、そうした環境でも上を目指し、しかもあれだけ球団、チームメイト、ファンに愛された川﨑選手は本当にすごいと思います。

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建山 義紀

たてやま よしのり

1975年12月26日生まれ。大阪府出身。 98年ドラフト2位で日本ハムファイターズに入団。ルーキーイヤーから先発ローテーションに定着し、6勝をあげる。以降、セットアッパー、ストッパーなどで活躍、日本一にも貢献。2010年オフ、FA権を行使しMLBのテキサス・レンジャーズに入団、13年にはNYヤンキースへ移籍。2014年6月に日本球界復帰(阪神タイガース)しこの年、現役引退。野球解説者として活躍中。


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