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大宮発「スカイツリートレイン」のお名残り乗車

4月16日運転終了、最初で最後の乗車レポート

 東京スカイツリー開業のほぼ半年後(2012年10月)にデビューした東武鉄道の観光列車「スカイツリートレイン」。土休日に臨時列車として決まった列車ダイヤで走っていたのだが、2017年4月16日をもって運転を終了するとのこと。以後も団体専用列車としては存続するようだが、個人で気楽に乗ることはできなくなる。なかでも、土曜日限定の大宮発浅草行き「スカイツリートレイン4号」は、首都圏在住者には手ごろなルートであるし、野田線を走る貴重な特急電車だ。一度は乗ってみたいと思いつつ、そのうち乗ろうと後回しにしていたら廃止が決まってしまった。慌てて3月下旬の土曜日に指定券を買って大宮へ向かい、最初で最後の乗車と相成った。

 

大宮駅で発車を待つスカイツリートレイン

 昼間といえども頻繁に電車が発着する東武野田線の大宮駅。一本しかない行き止まりホームの両側に線路があり、絶えずどちらかは電車が停車している状況だ。そんな混みあった間隙を縫うように、発車10分前くらいに、スカイツリートレイン4両編成は回送電車として到着した。ドアは2ヶ所しか開かず、案内表示に書かれた乗り場から、立っていた係員に指定券を見せて車内へ入る。

 

スカイツリートレインのユニークな車内

 普通のクロスシートと窓向きのペアシートが並ぶうち、指定を取ったのは窓向きのペアシート、といっても、今回は一人である。お名残り乗車の鉄道ファンで込み合っていたので知らない人と相席になるかなと思っていたが、幸い隣には誰もいない。クロスシートの場合は、改造車のため座席と窓の配置が一致せず、窓と窓との間の柱が邪魔になる席があるので、ペアシートで正解だったようだ。

 

岩槻付近の菜の花畑

 自分の席を見つけて、腰を降ろしたのもつかの間、電車は動き出していた。JRの宇都宮方面へ向かう電車と並走したのち、スカイツリートレインは右にカーブし、緑豊かな大宮公園の脇を抜けて東へとひた走る。一戸建て住宅が点在する郊外は、菜の花畑も目につき、春を感じる。先行する電車を追い抜かないので、人形のまち岩槻で時間調整のためか一旦停車。窓向きの席に座っていると、ホームで次の電車を待っている人と目が合ってしまい、何だか気恥かしい。

 

 

 岩槻を出て、元荒川を渡り、しばらく走って春日部へ。駅の直前で、野田線のホームを避けるようにゆっくりと左へ進み、伊勢崎線の下りホーム4番線に到着する。しばし停車する間に、隣の3番線には館林、日光方面へ向かう電車が発着。スカイツリートレインは6分も停まる。ホームへ出て写真を撮って戻っても時間が余る。ちょうどアテンダントの女性が記念撮影用ボードを持って通りかかったので、カメラを渡してシャッターを押してもらった。

 

 

 春日部を出ると、スカイツリートレインは車体をくねらせながら下り線から上り線へと移り、浅草を目指す。野田線よりも俄然スピードを上げての走行だ。とくに北越谷から複々線になると、一番東側の線路をかなりのスピードで走る。すぐ右側を走っている日比谷線直通の各駅停車を追い抜き、ようやく特急の名に恥じない列車となったように思える。

 

北越谷~北千住間の複々線区間を快走

 一番西側の下り線を急行や特急スペーシアが都心からやってきてすれ違う。草加あたりで試運転中の新型車両リバティの姿が見えると、車内から歓声が上がった。やはりは注目の的なのだ。西新井を過ぎ、荒川に架かる鉄橋を渡ると北千住。春日部以来ノンストップであったが、やっと停車。意外にも多くの人が降りていった。

次のページハイライトは断然車窓から見えるスカイツリー

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