コロナ後の目指すべき社会において医療・介護の課題はIT活用による効率化で解決【時論提言】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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コロナ後の目指すべき社会において医療・介護の課題はIT活用による効率化で解決【時論提言】

来るウイルス共生社会と加速する高齢化社会への提言

◼️接触・飛沫だけではない、エアロゾル感染対策の必要性

 ───) さらに、「3密対策(密閉空間、密集場所、密接場面への回避)として屋内空間除菌装置の販売を開始されています。この空間除菌への問題に対して同装置はどのような機能と効果を持っているのでしょうか。

 ●山本) 「UVCエアクリーンmanager®」という装置になります。日本では馴染みのない言葉かもしれませんが、「UVC」とは、殺菌灯などに使用されている紫外線のことです。この紫外線を出す装置を取り付けて10分ほど人間の体に紫外線が当たらない2.1m以上の部屋上部に水平に照射することで、室内のウイルスなどの99.9%を殺菌し、安全な空間を創りだすことが可能です。すでに欧米の結核病院などでは、紫外線を部屋上部に照射することによって殺菌するこのUVGI方式の装置が普及しています。

UVGI方式による紫外線殺菌のイメージ
UVC照射機ウイルス除去テストでは稼働5分程度で顕著な効果が認められた

 

 ───) やはり「室内の殺菌」も重要なのですね。

 ●山本) 今後、来たるべき「コロナ後」の社会の前提、ウイルスとの共生を考えた場合、以下の3点が要点となると考えます。

 ①「接触感染」対策…テレワーク、時差通勤などで人と接する機会を減らす、また手洗い•うがいの習慣で衛生面に配慮すること
 ②「飛沫感染」対策…マスクの着用
 ③「エアロゾル感染」対策…「UVC」による室内の殺菌

 この3つの感染対策がそろって、はじめて安全な「アフターコロナ」「ウイズコロナ」の生活が可能になると言えるのではないでしょうか。

 ───) 3つ目の「エアロゾル感染」には、このようなハード・ソフト面での感染予防インフラが必要となってくるのでしょうか。

 ●山本) そもそもエアロゾル感染とは、「飛沫感染(直径5μm以上)」「飛沫核感染(直径4μm以下)」を包含している用語です。特徴として後者は、軽いので長時間浮遊する、とされています(下記【註】参考資料参照)。

 【註】東京大学 保険・健康推進本部 保険センター「感染の方法」より
  http://www.hc.u-tokyo.ac.jp/covid-19/infection_route/

 感染予防には換気が必要だと、盛んに叫ばれていますね。しかし、日本では「通年に渡ってどうやって換気すべきなのか」について有効な対策は少ないといっていいでしょう。新型コロナ感染症との関係では、様々な議論がなされておりますが、私たちは、その可能性が科学的に否定されない限りは、特に医療現場での感染の問題を勘案すれば、その対策は喫緊の課題だと認識しております。

 そして、このコロナ禍の経験で、ウイルスに対する関心も世界中に高まり、より安全かつ安心な対策を社会が求めるようになったと思われます。またウイルスに対する不安も日本社会では国民的に広がりました。ならば、その不安を最先端の科学的エビデンスに基づき解消する、具体的には、飛沫核感染の可能性となる、室内のウイルス自体を殺菌してしまえばよいと考えました。

 つまり、「エアロゾル感染」を防ぐということ。そのために必要なのが、屋内空間除菌装置です。

 ───) なるほど。たしかに「安全」が担保されないと、安心して人が集えないですね。

 ●山本) その通りです。先般、WHOは次亜塩素酸水(消毒液)の噴霧は人体に有害であるという見解を、厚労省も噴霧は推奨しないとの立場を示しました。そのため、空間除菌としては紫外線殺菌しか方法がないのが現状です。ドイツでは紫外線殺菌が新型コロナウイルスに有効であるという研究発表が出ていますし、ニューヨークの地下鉄でも紫外線殺菌装置の導入がはじまっています。

 ───) 日本での状況はいかがでしょうか。

 ●山本) 医療・介護施設にはじまり保育園・幼稚園、調剤薬局、給食センターなど、まずは人の健康に配慮すべき施設に導入が始まっています。飲食店やイベント、観光業などにも導入され、人々が安心して外食したり旅行したり遊んだりできる時間を取り戻さないと、経済の回復は難しいでしょう。つまり、これからのコロナと共生していく社会では、公共機関や企業は、まず、安全な環境・空間であること。そして安全な空間であることを当該組織、施設が社会に発信、PRすることが、あらゆる事業が継続していくためのキーとなります。そのために、UVC装置設置後にどれだけ浮遊菌が除去されたかを示す「環境測定証明書」も我々は発行しています。

 国民の健康と安全をどう守るかという公共の福祉に関わる装置でもあるゆえ、普及、設置にあたっては政府・自治体が何らかの補助金、助成金を検討していくことも必要ではないか、とも考えております。

 

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山本 拓真

やまもと たくま

株式会社カナミックネットワーク代表取締役社長。 2000年、株式会社富士通システムソリューションズ(現富士通株式会社)を経て05年、同社常務取締役、07年専務取締役。11年、国立大学法人東京大学高齢社会総合研究機構研究員、12年、国立研究開発法人国立ガン研究センター外来研究員。14年9月より同社代表取締役社長(現任)、16年東証マザーズ上場、18年東証一部上場。 →【YouTubeチャンネル】 『山本拓真の超高齢社会にイノベーションを巻き起こせ!』

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