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元サッカー代表監督・オシム氏が、キャプテンに求めた「オーソリティ」

イビチャ・オシム氏が阿部勇樹をキャプテンに指名した理由

まずできることはその選手を信頼すること 

 それに何かを変える必要があった。武藤(真一)や望月(重良)といったベテランたちは、誰もが自分こそキャプテンに相応しいという思いを、多かれ少なかれ持っているものだ。だがだからといって、年齢のいった選手を指名しなければならないという規則はどこにもない。

 必要なのはオーソリティのある選手だ。
 誰もが尊重する選手。選手たちだけでなく、ジャーナリストや観衆をもが評価する選手だ。
 そういう選手がキャプテンになれば成功は可能だ。
 若い選手をキャプテンにするには勇気がいるが、私ができることは、まずその選手を信頼することだ。同時にすべての若手を同等に扱う。

 というのも他の若い選手たちも、自分もキャプテンになれると思いはじめるからだ。ひとりが先例を作ると、誰もがそれに従おうとする。遅かれ早かれそうなる。
 ひとりの選手が代表に選ばれる。ジェフではひさしくなかったことだ。だがひとりが選ばれると、他の選手たちも自分もいつか選ばれるかもと思うようになる。特に同じ年代の選手はそうだ。

 たしかに阿部はちょっと内気で控えめだった。だが、誰もが陽気でつねに冗談ばかり言っているわけではない。それよりまずピッチ上で完璧な選手であれば、それで十分だ。ピッチ上で監督のように行動できる選手。必要な場面に顔をだし、チームメイトを助けて穴をふさげる選手だ。(了)
急いてはいけない』イビチャ・オシム著より 

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