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大国ロシアの艦隊が日本海で壊滅!
驚愕のニュースが世界中を駆け巡る

日露戦争の真実 日本海海戦の戦略を読み解く 第15回 

 午後4時、駆逐艦「漣」と「陽炎」は鬱陵島(うつりょうとう)の沖合で駆逐艦「ベドウィ」と「グローズヌイ」と遭遇し、砲撃を加えた。「グローズヌイ」は逃げたが、「ベドウィ」は白旗を掲げて降伏。武装解除と臨検(りんけん)のために艦内を調べると、ベッドの上で苦しむロジェストウェンスキー司令長官の姿があった。彼は佐世保の海軍病院に移送され、手厚い看護を受けた。

 29日午前7時過ぎ、最後まで戦っていた装甲巡洋艦「ドミトリー・ドンスコイ」が鬱陵島で自沈し、戦いは終わった。

 バルチック艦隊は38隻で日本海にやってきたが、戦艦8隻のうち6隻を含む計16隻が撃沈され、6隻が自沈した。日本軍が捕獲したのは戦艦2隻を含む6隻。ウラジオストックにたどり着いたのは3隻にすぎなかった。

 日本海海戦でロシアの大艦隊が壊滅したとのニュースは世界中を駆け巡った。列国は驚いた。極東の小国が大国ロシアの艦隊に大勝することなど考えてもいなかったのである。日英同盟を結んでいたイギリスの新聞でさえ、事実を再確認するために発行を遅らせたほどだった。

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松田 十刻

まつだ じゅっこく

1955年、岩手県生まれ。立教大学文学部卒業。盛岡タイムス、岩手日日新聞記者、「地方公論」編集人を経て執筆活動に入る。著書に「紫電改よ、永遠なれ」(新人物文庫)、「山口多聞」(光人社)、「撃墜王坂井三郎」(PHP文庫)など。


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