アメリカのベネズエラ侵攻と国際法・国際秩序を無視する「MAGAトランプ2.0」の行動原理【中田考】
《中田考 時評》文明史の中の“帝国日本”の運命【第5回】 ニヒリズムの2(20/21)世紀の四半世紀が過ぎて
5.有権解釈
「法を公式に解釈する権限を持つ国家機関が行う拘束力のある解釈」を「有権解釈」という。国内法では通常は裁判所の判決が有権解釈であるが、行政行為は裁判にならない限り行政府の決定が有権解釈となる。SNS、メディア、学会、論壇などにも「違法だ」、「違憲だ」、「有罪だ」といった言葉が飛び交っているが、有権解釈以外は空理空論に過ぎないので、市井の民草に過ぎない筆者は出来る限りそういう発言は控えるようにしている。自衛隊の存在も、天皇制の違憲(違法)であることに議論の余地などないが、国家が認めなければ外野が何を言おうと負け犬の遠吠えに過ぎない。たとえ最高裁の長官であっても自分が担当する裁判での判決以外で、どんな意見を述べようとも、何の力もないことは同じである。
「法の支配」だの「法治主義」だの立派そうなことを言っていても所詮人間が作った「法」、「人定法」など所詮は権力者の支配の正当化装置でしかない。真に「法」の名に値するものは、神授の不磨の大典シャリーアだけだが、その話は近刊『法論』(作品社)で詳論する。
最近の日本の司法の劣化は目に余るが、日本語読者の肌感覚では、それでも国内法では、一応裁判所があり、法が施行されているという建前が罷り通るぐらいには、法は機能しているだろうから、それでも国内法ではいろいろ問題はあっても一応「法秩序」が存在する、ということにしておこう。
国連の下部機関国際司法裁判所(ICJ)、国連からは独立した国際刑事裁判所(ICC)のような司法機関があるにはあるが、どちらも有名無実の役立たずである。なぜなら国際司法裁判所(ICJ)は国家間の紛争を扱うが当事国が裁判に同意しないと審理できず強い国ほど「嫌なら出ない」で済みたとえ裁判が行われても当事国が判決に従わなければICJには警察も軍もないので執行できないからで、国際刑事裁判所(ICC)には独自の警察がないため逮捕状を出しても加盟国が協力しなければ誰も逮捕できないし、最も重大な罪を犯す可能性のある米中露などの大国が加盟していないため大国の指導者を裁くことができないからである。つまりICJも国家主権を超える強制力を持つ有権解釈を下せる「裁判所」ではないからである。
そもそも有権解釈を下せる裁判所が存在しない以上、国際秩序、国際法などというものは「秩序」や「法」を名乗っていても、「ジャングル」や「ジャングルの掟」でしかない。そして条約などの形で国連と法的関係を結んでいる以上[9]、日本もまた本質的には国際社会がアナーキー社会であるのと同じで、有権解釈のない無法地帯である[10]。もしマドゥロを元首と認める国家の有権解釈さえ認めないなら、いかなる国に対してさえ国際法を盾にとって他国を批判する資格はない。
注 [9] 定説では憲法98条2項「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」は国際規範を自動的に 国内法に編入し「国際法の国内法的効力を認めた規定」と説明されてきた。松田浩道「日本国憲法98条2項に基づく国際規範の実施権限」『神戸法学年報』32巻(2018年)245-246頁参照。 [10] 国際社会がアナーキーであることの意味については、へドリー・ブル『国際社会論アナーキカル・ソサイエティ』(岩波書店2007年)54-62頁参照。
KEYWORDS:
✴︎KKベストセラーズ好評既刊 新装重版✴︎
★初の女性新首相・高市早苗「政治家の原点」がここにある★
『アメリカ大統領の権力のすべて』待望の新装重版
◎民主主義国家の政治をいかに動かし統治すべきか?
◎トランプ大統領と渡り合う対米外交術の極意とは?
★政治家・高市早苗が政治家を志した原点がここにある!
「日本は、国論分裂のままにいたずらに時間を食い、国家意志の決定と表明のタイミングの悪さや宣伝下手が災いし、結果的には世界トップ級の経済的貢献をし、汗も流したにもかかわらず、名誉を失うこととなった。
納税者としては政治の要領の悪さがもどかしく悔しいかぎりである。
私は「国力」というものの要件は経済力」、「軍事力」、そして「政治力」だと考えるが、これらの全てを備えた国家は、現在どこにも存在しない。
(中略)
そして日本では、疑いもなく政治力」がこれからのテーマである。
「日本の政治に足りないものはなんだろう?」情報収集力? 国会の合議能力? 内閣の利害調整能力? 首相のメディア・アピール能力? 国民の権利を保証するマトモな選挙? 国民の参政意識やそれを育む教育制度?
課題は随分ありそうだが、改革の糸口を探る上で、アメリカの政治システムはかなり参考になりそうだ。アメリカの政治にも問題は山とあるが、こと民主主義のプロセスについては、我々が謙虚に学ぶべき点が多いと思っている。
(中略)
本書では、行政府であるホワイトハウスにスポットを当てて同じテーマを追及した。「世界一強い男」が作られていく課程である大統領選挙の様子を描写することによって、大統領になりたい男や大統領になれた男たちの人間としての顔やフッーの国民が寄ってたかって国家の頂点に押し上げていく様をお伝えできるものになったと思う。 I hope you enjoy my book.」
(「はじめに」より抜粋)
◉大前研一氏、推薦!!
「アメリカの大統領は単に米国の最高権力者であるばかりか、世界を支配する帝王となった。本書は、連邦議会立法調査官としてアメリカ政治の現場に接してきた高市さんが、その実態をわかりやすく解説している。」

ALL ABOUT THE U.S. PRESIDENTIAL POWER
How much do you know about the worlds’s most powerful person―the President of the United States of America? This is the way how he wins the Presidential election, and how he rules the White House, his mother country, and the World.



<著者略歴>
高市早苗(たかいち・さなえ)
1961年生まれ、奈良県出身。神戸大学経営学部卒業後、財団法人松下政経塾政治コース5年を修了。87年〜89年の間、パット•シュローダー連邦下院議員のもとで連邦議会立法調査官として働く。帰国後、亜細亜大学・日本経済短期大学専任教員に就任。テレビキャスター、政治評論家としても活躍。93年、第40回衆議院議員総選挙に奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選。96年に自由民主党に入党。2006年、第1次安倍内閣で初入閣を果たす。12年、自由民主党政務調査会長に女性として初めて就任。その後、自民党政権下で総務大臣、経済安全保障大臣を経験。2025年10月4日、自民党総裁選立候補3度目にして第29代自由民主党総裁になる。本書は1992年刊行『アメリカ大統領の権力のすべて』を新装重版したものである。
✴︎KKベストセラーズ「日本の総理大臣は語る」シリーズ✴︎

✴︎KKベストセラーズ 中田考著書好評既刊✴︎
『タリバン 復権の真実』
『宗教地政学で読み解く タリバン復権と世界再編』
※上の書影をクリックするとAmazonページにジャンプします



