日本の統一教会から教団代表・韓鶴子に提出されたとされる「TM文書の正体」と「信仰告白を強制される社会」【仲正昌樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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日本の統一教会から教団代表・韓鶴子に提出されたとされる「TM文書の正体」と「信仰告白を強制される社会」【仲正昌樹】

  

 三年前、立憲民主党の議員が閣僚に統一教会の信仰を持っているか国会で尋ね、憲法二〇条の信教の自由に含まれる、「信仰告白を強制されない自由(沈黙権)」に違反するのではないかと話題になった。このことは憲法に直接書かれていないが、憲法の教科書・解説書のほとんどで、自明のこととして扱われている。信仰告白の強制は、江戸時代の踏み絵やヨーロッパの中世から近代初期にかけての異端審問・魔女裁判に繋がるからである。今回記事を書いたジャーナリストの石井謙一郎氏と文春編集部は、何のためらいもなくこの権利を完全に無視してしまったわけである。

 それだけではすまない恐れがある。長島が元信者でマッチングを受けたことを潔く告白したことを好意的に捉える人もいる一方、本人がやめたと言っても信用できない、裏で繋がっている可能性がある、TM文書に名前が出て来たのがその証拠だ、と心ないことを言う者も少なくない。

 宗教学者で東大教授の堀江宗正氏は一月七日にX上で以下のようにポストしている。

 

もともと信者で合同結婚式を経て家庭を作ったが、夫婦で辞めて、その後、政治家になって、再び教会との関係が深まったという。二世でもないバリバリの一世信者だった。政治家として送り込むために、いったん辞めた形を取ったのではないかと、勘繰ってしまうが。

 

外国の教団、それも日本で自立しているのではなく、本国のコントロールが極めて強い教団が、もし信者を与党議員の秘書にしたり、あるいは議員にしたりしていたら、安全保障上、重大なリスクと考えられる。下手したら国家機密に関わる情報も筒抜け。その教団は過去に北朝鮮とも関係があったわけで。

 

 これが様々な新興宗教に対して調査研究しているはずのベテランの宗教学者の言葉である。彼の発想でいけば、一度でも統一教会のようなタイプの宗教の信仰を持った者は、MC(マインド・コントロール)が解けておらず、教団のために国家の不利益になる違法行為に手を染める可能性があるので、国会議員のような公職に就くのは本来不適当であり、仮に公職に就くことを認めるにしても、一生踏み絵のようなことをさせて、信者でないことを確認し続けねばならない、ということになるだろう。立憲民主党の石垣のりこ参議院議員は、長島氏が過去の信仰をこれまで明らかにしなかったことを「嘘」と断じている。これは、踏み絵を示唆しているように思える。

 国会議員は特別に公的な職業なので カルト・チェックは必要だ、プライバシーは認められない、などと明らかに憲法を無視した発言をするネット・サヨクもいる。しかし、「公的な職業」なので特別にカルト・チェックは必要などという理屈がまかり通ったら、次は、地方公務員まで含んだ全公務員、行政法人の職員、教職者、法律家、医療従事者…と広がっていく恐れがある。チェックの対象となる宗教も統一教会以外にも増えていく恐れがある。

次のページ一度原則の例外を認めたら、なし崩しに例外が拡大し原則が消滅してしまう事態に

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民主主義国家の政治をいかに動かし統治すべきか?

◎トランプ大統領と渡り合う対米外交術の極意とは?

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「日本は、国論分裂のままにいたずらに時間を食い、国家意志の決定と表明のタイミングの悪さや宣伝下手が災いし、結果的には世界トップ級の経済的貢献をし、汗も流したにもかかわらず、名誉を失うこととなった。

 納税者としては政治の要領の悪さがもどかしく悔しいかぎりである。

 私は「国力」というものの要件は経済力」、「軍事力」、そして「政治力」だと考えるが、これらの全てを備えた国家は、現在どこにも存在しない。

 (中略)

 そして日本では、疑いもなく政治力」がこれからのテーマである。

 「日本の政治に足りないものはなんだろう?」情報収集力? 国会の合議能力? 内閣の利害調整能力?  首相のメディア・アピール能力?  国民の権利を保証するマトモな選挙?  国民の参政意識やそれを育む教育制度?

 課題は随分ありそうだが、改革の糸口を探る上で、アメリカの政治システムはかなり参考になりそうだ。アメリカの政治にも問題は山とあるが、こと民主主義のプロセスについては、我々が謙虚に学ぶべき点が多いと思っている。

 (中略)

 本書では、行政府であるホワイトハウスにスポットを当てて同じテーマを追及した。「世界一強い男」が作られていく課程である大統領選挙の様子を描写することによって、大統領になりたい男や大統領になれた男たちの人間としての顔やフッーの国民が寄ってたかって国家の頂点に押し上げていく様をお伝えできるものになったと思う。 I hope you enjoy my book.」

(「はじめに」より抜粋)

 

◉大前研一氏、推薦!!

 「アメリカの大統領は単に米国の最高権力者であるばかりか、世界を支配する帝王となった。本書は、連邦議会立法調査官としてアメリカ政治の現場に接してきた高市さんが、その実態をわかりやすく解説している。」

 

ALL ABOUT THE U.S. PRESIDENTIAL POWER

How much do you know about the worlds’s most powerful person―the President of the United States of America? This is the way how he wins the Presidential election, and how he rules the White House, his mother country, and the World.

<著者略歴>

高市早苗(たかいち・さなえ)

1961年生まれ、奈良県出身。神戸大学経営学部卒業後、財団法人松下政経塾政治コース5年を修了。87年〜89年の間、パット•シュローダー連邦下院議員のもとで連邦議会立法調査官として働く。帰国後、亜細亜大学・日本経済短期大学専任教員に就任。テレビキャスター、政治評論家としても活躍。93年、第40回衆議院議員総選挙奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選。96年に自由民主党に入党。2006年第1次安倍内閣で初入閣を果たす。12年、自由民主党政務調査会長女性として初めて就任。その後、自民党政権下で総務大臣、経済安全保障大臣を経験。2025年10月4日、自民党総裁選立候補3度目にして第29代自由民主党総裁になる。本書は1992年刊行『アメリカ大統領の権力のすべて』を新装重版したものである。

 

 

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仲正 昌樹

なかまさ まさき

1963年、広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。古典を最も分かりやすく読み解くことで定評がある。また、近年は『Pure Nation』(あごうさとし構成・演出)でドラマトゥルクを担当し、自ら役者を演じるなど、現代思想の芸術への応用の試みにも関わっている。最近の主な著書に、『現代哲学の最前線』『悪と全体主義——ハンナ・アーレントから考える』(NHK出版新書)、『ヘーゲルを超えるヘーゲル』『ハイデガー哲学入門——『存在と時間』を読む』(講談社現代新書)、『現代思想の名著30』(ちくま新書)、『マルクス入門講義』『ドゥルーズ+ガタリ〈アンチ・オイディプス〉入門講義』『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』(作品社)、『思想家ドラッカーを読む——リベラルと保守のあいだで』(NTT出版)ほか多数。

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