日本の統一教会から教団代表・韓鶴子に提出されたとされる「TM文書の正体」と「信仰告白を強制される社会」【仲正昌樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

日本の統一教会から教団代表・韓鶴子に提出されたとされる「TM文書の正体」と「信仰告白を強制される社会」【仲正昌樹】

  

 ハンギョレ新聞が報じた“TM文書”の内容に関するおかしなことを二点ほど指摘しておく。一つは、「徳野元会長は、高市氏が20219月に初めて自民党総裁選に出馬した当時、『高市氏は安倍元首相が強く推薦しているということと、神奈川県出身であり、神奈川県の現場において高市氏の後援会と我々は親密な関係にある』という記述だ。日本人がこんな間違いをするだろうか?念のため、この記事の韓国語の原文を確かめたが、やはり「카나가와현」と表記されていた。奈良県を神奈川県と訳し間違えたわけではないようだ。誰の勘違いか分からないが、これが最高機密の文書だろうか。

 もう一つは、統一教会への恨みで安倍元首相を殺害したとされる山上徹也の会員(信者)登録に関する記述だ。安倍元首相殺害事件を知った奈良の教区長が、「山上徹也が(日本統一教会の)大和郡山家庭教会の所属となっていたため、本部会長の指示で会員記録を削除した」というものだ。統一教会に恨みを抱いていた山上を信者として登録していたのが事実だとすれば、多くの人はいろいろ想像するだろう。一番悪意に取る人は、山上を信者扱いにして搾取の対象にしていた、と憶測するだろう。

 私の元信者としての経験からして、統一教会は名簿類の管理については結構ルーズなので、何かの拍子に、熱心な信者の息子ということで、何かの名簿類に名前を載せてしまっていた可能性はないわけではないと思う。しかし、少し考えると、上記のような記述がTM報告書にある、というのはおかしい。矛盾と言っていい。

 「まずい記録があったので削除しました」という記録を残す人間がいるだろうか? 森友文書にそんな記述があったとしたら、(さほど政府に敵意を持っていない)普通の人はどう思うだろうか?

 仮に実際に登録されていたとしても、山上本人を含めてほとんど誰も知らず、本部にも記録がないのだから、奈良の教会長の判断で黙って削除すれば済むことだ――祝福(婚約→結婚)を受ける対象となる正規の「会員」の場合は、本部に登録されるので、削除するとすれば、本部側である。仮に“登録”について本部に報告し、田中教会長(当時)の判断を仰いだとしても、会長は、削除を指示したうえで、そのことは絶対他言するな、と言って終わりにするだろう。まずい記録があったので削除させました、と田中教会長自身が韓国に報告して記録に残す、というのは矛盾した、辻褄の合わない話だ。

 統一教会はそういう間抜けな集団なのかもしれないが、そこまで間抜けな報告書に書かれていることを真に受けるのは、もっと間抜けではないか。

次のページTM文書は日本の政界や教団の事情をよく知らない人物によって雑にまとめられた!?

KEYWORDS:

 

 

✴︎KKベストセラーズ好評既刊  新装重版✴︎

高市早苗著『アメリカ大統領の権力のすべて』

 

★初の女性新首相・高市早苗「政治家の原点」がここにある★

アメリカ大統領の権力のすべて』待望の新装重版

 

民主主義国家の政治をいかに動かし統治すべきか?

◎トランプ大統領と渡り合う対米外交術の極意とは?

★政治家・高市早苗が政治家を志した原点がここにある!

 

「日本は、国論分裂のままにいたずらに時間を食い、国家意志の決定と表明のタイミングの悪さや宣伝下手が災いし、結果的には世界トップ級の経済的貢献をし、汗も流したにもかかわらず、名誉を失うこととなった。

 納税者としては政治の要領の悪さがもどかしく悔しいかぎりである。

 私は「国力」というものの要件は経済力」、「軍事力」、そして「政治力」だと考えるが、これらの全てを備えた国家は、現在どこにも存在しない。

 (中略)

 そして日本では、疑いもなく政治力」がこれからのテーマである。

 「日本の政治に足りないものはなんだろう?」情報収集力? 国会の合議能力? 内閣の利害調整能力?  首相のメディア・アピール能力?  国民の権利を保証するマトモな選挙?  国民の参政意識やそれを育む教育制度?

 課題は随分ありそうだが、改革の糸口を探る上で、アメリカの政治システムはかなり参考になりそうだ。アメリカの政治にも問題は山とあるが、こと民主主義のプロセスについては、我々が謙虚に学ぶべき点が多いと思っている。

 (中略)

 本書では、行政府であるホワイトハウスにスポットを当てて同じテーマを追及した。「世界一強い男」が作られていく課程である大統領選挙の様子を描写することによって、大統領になりたい男や大統領になれた男たちの人間としての顔やフッーの国民が寄ってたかって国家の頂点に押し上げていく様をお伝えできるものになったと思う。 I hope you enjoy my book.」

(「はじめに」より抜粋)

 

◉大前研一氏、推薦!!

 「アメリカの大統領は単に米国の最高権力者であるばかりか、世界を支配する帝王となった。本書は、連邦議会立法調査官としてアメリカ政治の現場に接してきた高市さんが、その実態をわかりやすく解説している。」

 

ALL ABOUT THE U.S. PRESIDENTIAL POWER

How much do you know about the worlds’s most powerful person―the President of the United States of America? This is the way how he wins the Presidential election, and how he rules the White House, his mother country, and the World.

<著者略歴>

高市早苗(たかいち・さなえ)

1961年生まれ、奈良県出身。神戸大学経営学部卒業後、財団法人松下政経塾政治コース5年を修了。87年〜89年の間、パット•シュローダー連邦下院議員のもとで連邦議会立法調査官として働く。帰国後、亜細亜大学・日本経済短期大学専任教員に就任。テレビキャスター、政治評論家としても活躍。93年、第40回衆議院議員総選挙奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選。96年に自由民主党に入党。2006年第1次安倍内閣で初入閣を果たす。12年、自由民主党政務調査会長女性として初めて就任。その後、自民党政権下で総務大臣、経済安全保障大臣を経験。2025年10月4日、自民党総裁選立候補3度目にして第29代自由民主党総裁になる。本書は1992年刊行『アメリカ大統領の権力のすべて』を新装重版したものである。

 

 

✴︎KKベストセラーズ「日本の総理大臣は語る」シリーズ✴︎

オススメ記事

仲正 昌樹

なかまさ まさき

1963年、広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。古典を最も分かりやすく読み解くことで定評がある。また、近年は『Pure Nation』(あごうさとし構成・演出)でドラマトゥルクを担当し、自ら役者を演じるなど、現代思想の芸術への応用の試みにも関わっている。最近の主な著書に、『現代哲学の最前線』『悪と全体主義——ハンナ・アーレントから考える』(NHK出版新書)、『ヘーゲルを超えるヘーゲル』『ハイデガー哲学入門——『存在と時間』を読む』(講談社現代新書)、『現代思想の名著30』(ちくま新書)、『マルクス入門講義』『ドゥルーズ+ガタリ〈アンチ・オイディプス〉入門講義』『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』(作品社)、『思想家ドラッカーを読む——リベラルと保守のあいだで』(NTT出版)ほか多数。

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

ネットリンチが当たり前の社会はどうなるか?
ネットリンチが当たり前の社会はどうなるか?
  • 仲正昌樹
  • 2024.09.21
人はなぜ「自由」から逃走するのか: エーリヒ・フロムとともに考える
人はなぜ「自由」から逃走するのか: エーリヒ・フロムとともに考える
  • 仲正 昌樹
  • 2020.08.25
日本崩壊 百の兆候
日本崩壊 百の兆候
  • 適菜収
  • 2025.05.26