2025年の芸能ニュース総括、令和式「可愛い」が氾濫するなか、人気者が次々と消え「娯楽の王様」は晩年を迎えた【宝泉薫】
■「可愛い」の氾濫と「娯楽の王様」の晩年
可愛いといえば――。近年は、その表現や活用の方法が大きく変化した。
これはフルーツジッパー(FRUITS ZIPPER)やキャンディーチューン(CANDY TUNE)をはじめとするカワイイラボ(KAWAII LAB.)のアイドルグループが連発した可愛いソングによるところが大きい。フルーツジッパーの出世作『わたしの一番かわいいところ』が象徴するように、女の子の可愛さを全肯定していこうという方向性は、ポジティブな多幸感をもたらしているが、圧の強さやそのテイストの濃さが、さながら「可愛い」の氾濫みたいな状況も出現させている。

やたらとカラフルでボリューミーな衣裳などには、アイドルがアニメとも連携しながら目指してきた可愛さの極致という見方もできる一方で、圧のひかえめな、淡いテイストの可愛さというものが隅っこに押し流されてしまっているのではないか。それでも、カワラボ的な「可愛い」はアイドルシーンをしばらく席巻していくことだろう。
その強みとしては、ネットとの相性のよさ。そもそも、ここまで席巻できているのは、SNSで「可愛い」を存分にアピールしたい令和女子の感覚にフィットしたからだ。逆に乃木坂46のイメージが、可愛いのにSNSとかはやっていなさそうな子の集まり、だとしたら、坂道系が今、失速気味なのも仕方ない。
そして、失速気味どころの話ではないのがテレビだ。「娯楽の王様」と呼ばれていたのが嘘のように、衰退、いや、崩壊が始まっているのかもしれない。
国分太一を追放し、TOKIOを解散に追い込んだ日本テレビが『ザ!鉄腕!DASH!!』をやめないのも、コンプラ云々は怖がりつつ、長寿番組の安定感にはすがりたいという未練がうががえる。仕切り直しをして、新たなコンテンツで勝負する気概も能力ももはや失われているのだろう。
同じことがフジテレビにもいえる。松本人志の冠番組だった『酒のツマミになる話』を、千鳥の大悟を代役にして続けていたが、大悟が松本のコスプレをした回を放送中止にしたことで、千鳥が降板を申し入れ、ついに終わった。年間を通しても、ドラマやバラエティーのヒットはなく、注目されたのはあの長時間会見くらい。実際、年間最高視聴率を記録したのもあの会見だ。再生を目指す重役たちが、躍進のきっかけであり、アイデンティティでもあった「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却を宣言した時点で、テレビ局としては死んだという感もある。

一方、松本人志は吉本興業が立ち上げた配信サービスを使って復活を遂げた。前出のニュースランキングでも「ダウンタウンプラス(DOWNTOWN+)で復帰」が6位になっている。当人にとっては不本意な、世間的にも不可解なかたちでテレビから消えていた大物芸人が、ネットで復活してまずまずの成果をあげているわけだ。のちのち、時代の変わり目を示す出来事となるのかもしれない。
何はともあれ、テレビ、さらにはすべてのオールドメディアが晩年を迎えていることは間違いなさそうだ。
文:宝泉薫(作家、芸能評論家)
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