『レオン』とその仲間たち【新保信長】 連載「体験的雑誌クロニクル」28冊目
新保信長「体験的雑誌クロニクル」28冊目
しかし、これら後続誌と比べても、やはり『レオン』が頭ひとつ抜けていた。たとえば、2006年9月号の特集タイトルは「ちょい『ヨコシマ』オヤジのモテる艶夜(アデーヤ)」。もはや何を言ってるのかよくわからないが、ここまでくれば言ったもん勝ちである。「ちょい不良オヤジは“スケテロ”シャツで『乳(ニュー)リッチ』」「夜攻勢(ヤコウセイ)オヤジは移動自由な“立ちコン”で」「ちょい“ひねリッチ”なピッタンレザー」「“くったリッチ”な袖まくりジャケ」と畳みかけられると、こっちの感覚もマヒしてくる。

岸田氏は『レオン』編集長在任中に女性誌『ニキータ』も立ち上げた。「あなたに必要なのは“若さ”じゃなくて“テクニック”」のキャッチコピーを掲げ、創刊号(2004年11月号)の特集は「コムスメに勝つ!」と挑発的。「艶女(アデージョ)は『もろヒョウ』よりも『ちらヒョウ』で!」「艶男(アデオス)の本能に火を付けるゆ~ったり口調の『こくまろトーク』」「一生(以上?)イバれる『艶金(アデキン)時計』」「股浅でも後ろ淑女な『艶尻(アデジリ)デニム』」など、こちらもコテコテ造語のオンパレードだ。好き嫌いは別にして、この時期の岸田氏は“神ってた”と思う。
その後、主婦と生活社を退社した岸田氏は、『レオン』の対抗誌『ジーノ』(KI&Company/2007年5月号創刊)、さらなる高齢層をターゲットとした『マデュロ』(セブン&アイ出版/2014年11月号創刊)、『ジジ』(GGメディア出版/2017年8月号創刊)を相次いで立ち上げる。「リッチを誇るな センスで光れ!」「いつまでもジジイがおしゃれでやんちゃがいい!」「素敵にジジってますか?」といったコピーセンスは相変わらずだが、雑誌はいずれも長続きしなかった。
一方、『レオン』は今も健在だ。超久しぶりに買ってみた(2026年1月号)が、「必要なのは“お金”じゃなくて“センス”です!」のコピーもそのままで、表紙モデルはなんとジローラモ。もしかして創刊以来ずっと出ずっぱりなのか!?
特集は「お洒落オヤジはコートで伊達(ダテ)る」で「モテるモードの選び方」「冬の休日のやんちゃ着」「不良(ワル)な黒でミステリアスに伊達る」「“裏切りの白”で不埒に伊達る」など、見出しのノリもそれなりに健在。しかし、「聖夜までに!大人のオトコができる25Tips♥」として挙げられた小ワザの中に「勝負パンツで己を奮い立たせる」「イヴはエナジーフードをペロリ」なんてのがあるのには、いささか加齢臭を感じなくもない。今のところ「凄十」の広告は入ってないけれど。
文:新保信長

