【出版局長が脳梗塞に】リハビリテーション病院に集う患者さんたちとその人間模様【真柄弘継】連載第7回
【連載】脳梗塞で半身不随になった出版局長の「 社会復帰までの陽気なリハビリ日記」163日間〈第7回〉
◆リハビリテーション病院で細心の注意を払っていることとは?
リハビリテーション病院で細心の注意を払って気をつけていることは「転倒防止」である。
転倒すると自由に動けている患者も24時間見守りとなってしまう。
リハビリなどに影響してしまい進捗が遅れることに繋がるのだ。
判断力のある患者は自ら転倒しないようにできる。
そうでない患者は見守りで転倒などの事故から守られているのだ。
入院から退院まで1ヶ月もいなかったI井さん。
I井さんは82歳の女性で、恥骨骨折でリハビリテーション病院に転院されてきたそうだ。
食堂の席が隣のテーブルで斜向かいで、「おはようございます」と挨拶したことから話すようになった。
I井さんの粋な話しぶりから江戸っ子かな?と思い聞いてみた。
大正解だった。江戸川区生まれ、市川に嫁入りして今に至るとのこと。
性格も江戸っ子で、歯に衣着せぬ物言いと、その歯切れの良さは爽快であった。
I井さんが入院したことで旦那さんは介護施設に入ったそうだ。
それを常に気にかけておられた。
旦那さんが介護施設を出たがっているとのことで、無理に退院を希望して入院期限の90日間よりも全然少ない24日間で退院されたのである。
もう少し回復具合を進めたかったと本音がチラリ。
でも、それ以上に旦那さんのことが心配だとおっしゃっていた。
まさに昭和の妻である。
元気に長生きしてもらいたい。
文:真柄弘継
(第8回「【脳梗塞の出版局長】 真柄弘継のパーソナルな事柄を披露」につづく…)

◆著者プロフィール 真柄弘継(まがら・ひろつぐ) 某有名中堅出版社 出版局長 1966年丙午(ひのえうま)の1月26日生まれ。1988年(昭和63年)に昭和最後の新卒として出版社に勤める。以来、5つの出版社で販売、販売促進、編集、製作、広告の職務に従事して現在に至る。出版一筋37年。業界の集まりでは様々な問題提起を行っている。中でも書店問題では、町の本屋さんを守るため雑誌やネットなどのメディアで、いかにして紙の本の読者を増やすのか発信している。 2025年6月8日に脳梗塞を発症して半身不随の寝たきりとなる。急性期病院16日間、回復期病院147日間、過酷なリハビリと自主トレーニング(103キロの体重が73キロに減量)で歩けるまで回復する。入院期間の163日間はセラピスト、介護士、看護師、入院患者たちとの交流を日記に書き留めてきた。 自分自身が身体障害者となったことで、年間196万人の脳卒中患者たちや、その家族に向けてリハビリテーション病院の存在意義とリハビリの重要性を日記に書き記す。 また「転ばぬ先の杖」として、健康に過ごしている人たちへも、予防の大切さといざ脳卒中を発症した際の対処法を、リアルなリハビリの現場から当事者として警鐘を鳴らしている。
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