【新連載】脳梗塞で半身不随になった出版局長の「 社会復帰までの陽気なリハビリ奮闘日記」163日間【真柄弘継】第1回 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【新連載】脳梗塞で半身不随になった出版局長の「 社会復帰までの陽気なリハビリ奮闘日記」163日間【真柄弘継】第1回

【新連載】脳梗塞で半身不随になった出版局長の「 社会復帰までの陽気なリハビリ日記」163日間〈第1回〉

リハビリテーション病院の看護師さんが作ってくれたオリジナル折り紙作品

 

◆我慢できずにパンツを濡らしてしまった…

 

◾️6月9日月曜日~24日火曜日午前

朝、目が覚めて身体が動かないと人は何を考えるのだろう?
私は意識だけは人生これまで経験したことがないくらいクリアだ。
これが脳梗塞の半身不随か、なんて呑気に考えていた。
脳梗塞だと告げられたのに、一度も怖いとか不安な感情は湧いてこない。
ただ、自らの不摂生を反省するばかりである。
それでも現実は厳しい。
朝食を出されても食欲はなく、一口味噌汁を口にしただけ。
昼ご飯も同様で、心配した看護師さんがフルーツをつけてくれ、そのフルーツだけ口にしていた。
腹に何も入っていないからか、便意は感じないが尿意はある。
ナースコールで看護師さんを呼び、車椅子に抱き抱えられるように移される。
もちろん自分も左手や左足を使って車椅子に乗り換えてた。
トイレに行くと、スボンを看護師さんに下ろしてもらい小用を足す。
トイレは二回目にいったとき、我慢できずにパンツを濡らしてしまった。
看護師さんから、
「トレーニングパンツを履きます?」
と言われ黙り込んでしまった。
「早めに早めに呼んでくれればいいですよ」
と優しく言われ、以降一度も粗相はしていない。
翌日、ナースコールしたら違う看護師さんが尿瓶使いますかと言ったけど、トイレで済ます。
安易な方法は絶対に選択しないと思っている。
身体障害者となり不自由な身体で生きていくのに誰も手助けはしてくれない。
どんなに大変でも自分でするしかない。
この思いがあるからだ。
食事も左手が器用に箸を使え、左足も器用に動く。
今は右側は眠ってるだけ、起きたらきっと元通りになるはずだという気持ちがある。

リハビリは身体が動かなくなったその日から始まった。
(言語聴覚)、手&(作業)、脚(理学)をそれぞれ20分から30分行った。
ただ他の何か、例えば検査など入るとリハビリはなくなってしまう。
毎日三度必ずリハビリがあることはなかった。
この病院では新しくリハビリテーション科を新設したそうだ。
それでなのかセラピストさんたちはキャリア3年以内の若者ばかり。
私の頭と脚の担当になった方は二年目、手は新卒という布陣。
彼らとはプライベートなことを話しつつリハビリを行った。
脳梗塞の大変さを忘れる楽しい時間だった。
手の担当Hさんは福島の出身。
10年位経験を積んだら、地元に帰って訪問リハビリをしたいと目標を持った好青年。

追記)余談だが、リハビリテーション病院へ転院してから1ヵ月半後。
脳梗塞前に元々予約していた循環器科の検査に訪れたとき、待合室で偶然Hさんと会えた。
動かなかった腕もこんなに動きますと報告。
とても嬉しそうな笑顔が印象的だった。

脚の担当Kさんはキャリア二年目のやっぱり好青年。
私が会合(飲み会)の幹事をよくすると話すと、
「同期会の幹事を引き受けたが店を取ってない」と言いだした。
日にちが明後日と迫っており、尚且つ人数が20人程いる規模。
早く店だけでも確保しないととアドバイス。
会費や仕切りについて簡単に助言して感謝される。
Kさんとのリハビリで歩く練習は一番楽しく、そのお陰か食欲も出た。
三日目のお昼ごはんからは残すことなく完食。
身体に必要な栄養分が摂れるようになったのである。
脚のリハビリで長い装具を着け、後ろから支えられながら歩く。
病院の廊下を往復することも出来るようになった。
確実に動くようになってる実感が沸き上がってきた。
手は握りしめてグーのまま。
5回目の手のリハビリの時にほんの微かだが、中指がピクッと動いた!
セラピストさんが動きましたねと喜んでくれて、あっ、ホントに動くんだ!
私は感動に包まれたのである。
手を握り締めることは出来るようになった。
三角錐の小さなコーンを掴むことが出来るようにもなった。
脚同様に確実に動くようになる感触を得られた。
言語聴覚のリハビリは検査中心。
読み上げられた数字を聞いて覚えてる。
読み上げられた順番の反対順に答える。
いろいろな形の中から同じものを選ぶ。
一枚の絵の中に描かれているものを答える。
こういった内容である。
他に発声練習や口まわりの筋トレなど。
こもって話しずらかった喋り方も、なんとか聞き取ってもらえるようになった。

次のページ脳梗塞で壊れた脳は感情をコントロールできない!?

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★初の女性新首相・高市早苗「政治家の原点」がここにある★

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民主主義国家の政治をいかに動かし統治すべきか?

◎トランプ大統領と渡り合う対米外交術の極意とは?

★政治家・高市早苗が政治家を志した原点がここにある!

 

「日本は、国論分裂のままにいたずらに時間を食い、国家意志の決定と表明のタイミングの悪さや宣伝下手が災いし、結果的には世界トップ級の経済的貢献をし、汗も流したにもかかわらず、名誉を失うこととなった。

 納税者としては政治の要領の悪さがもどかしく悔しいかぎりである。

 私は「国力」というものの要件は経済力」、「軍事力」、そして「政治力」だと考えるが、これらの全てを備えた国家は、現在どこにも存在しない。

 (中略)

 そして日本では、疑いもなく政治力」がこれからのテーマである。

 「日本の政治に足りないものはなんだろう?」情報収集力? 国会の合議能力? 内閣の利害調整能力?  首相のメディア・アピール能力?  国民の権利を保証するマトモな選挙?  国民の参政意識やそれを育む教育制度?

 課題は随分ありそうだが、改革の糸口を探る上で、アメリカの政治システムはかなり参考になりそうだ。アメリカの政治にも問題は山とあるが、こと民主主義のプロセスについては、我々が謙虚に学ぶべき点が多いと思っている。

 (中略)

 本書では、行政府であるホワイトハウスにスポットを当てて同じテーマを追及した。「世界一強い男」が作られていく課程である大統領選挙の様子を描写することによって、大統領になりたい男や大統領になれた男たちの人間としての顔やフッーの国民が寄ってたかって国家の頂点に押し上げていく様をお伝えできるものになったと思う。 I hope you enjoy my book.」

(「はじめに」より抜粋)

 

◉大前研一氏、推薦!!

 「アメリカの大統領は単に米国の最高権力者であるばかりか、世界を支配する帝王となった。本書は、連邦議会立法調査官としてアメリカ政治の現場に接してきた高市さんが、その実態をわかりやすく解説している。」

ALL ABOUT THE U.S. PRESIDENTIAL POWER

How much do you know about the worlds’s most powerful person―the President of the United States of America? This is the way how he wins the Presidential election, and how he rules the White House, his mother country, and the World.

<著者略歴>

高市早苗(たかいち・さなえ)

1961年生まれ、奈良県出身。神戸大学経営学部卒業後、財団法人松下政経塾政治コース5年を修了。87年〜89年の間、パット•シュローダー連邦下院議員のもとで連邦議会立法調査官として働く。帰国後、亜細亜大学・日本経済短期大学専任教員に就任。テレビキャスター、政治評論家としても活躍。93年、第40回衆議院議員総選挙奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選。96年に自由民主党に入党。2006年第1次安倍内閣で初入閣を果たす。12年、自由民主党政務調査会長女性として初めて就任。その後、自民党政権下で総務大臣、経済安全保障大臣を経験。2025年10月4日、自民党総裁選立候補3度目にして第29代自由民主党総裁になる。本書は1992年刊行『アメリカ大統領の権力のすべて』を新装重版したものである。

 

 

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真柄弘継

まがら ひろつぐ

現役出版局長

1966年丙午(ひのえうま)126日生まれ。

1988年(昭和63)に昭和最後の新卒として出版社に勤める。

以来、5つの出版社で販売、販売促進、編集、製作、広告の職務に従事して現在に至る。

出版一筋37年。業界の集まりでは様々な問題提起を行っている。

中でも書店問題では、町の本屋さんを守るため雑誌やネットなどのメディアで、いかにして紙の本の読者を増やすのか発信している。

 

2025年68日に脳梗塞を発症して半身不随の寝たきりとなる。

急性期病院16日間、回復期病院147日間、過酷なリハビリと自主トレーニング(103キロの体重が73キロに減量)で歩けるまで回復する。

入院期間の163日間はセラピスト、介護士、看護師、入院患者たちとの交流を日記に書き留めてきた。

自分自身が身体障害者となったことで、年間196万人の脳卒中患者たちや、その家族に向けてリハビリテーション病院の存在意義とリハビリの重要性を日記に書き記す。

また「転ばぬ先の杖」として、健康に過ごしている人たちへも、予防の大切さといざ脳卒中を発症した際の対処法を、リアルなリハビリの現場から当事者として警鐘を鳴らしている。

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