東山紀之らが担ったジャニーイズムの継承。しかし、山口達也の退場が時代の変わり目を告げた【宝泉薫】「令和の怪談」(11)
「令和の怪談」ジャニーズと中居正広たちに行われた私刑はもはや他人事ではない(11)【宝泉薫】
そんななか、絶妙なかたちで爽やかさと色気を両立し続けていたのがSMAPだ。できちゃった婚をはじめ、駐車禁止を咎めた婦警を轢きかけたり、飲酒して全裸になったり、スキャンダラスな話題もふりまきながら、平等的多様性を歌ったり(『世界に一つだけの花』)フェミニズムに寄せたり(資生堂CMソング)して、清濁併せ呑む稀有なアイドル像を作り上げた。それでもなお、最後は空中分解してしまうのが芸能の宿命である。
では、誰が彼らを守るのか。それはやはり、ファンだと思う。実際、山口のときも、あるいは小山慶一郎のときも、ネットを中心に擁護の声が多く挙がった。アイドルとして建前を演じ続けるにはどこかで本音を発散することも必要で、そのメカニズム上、スキャンダルは不可避だ。凶悪犯罪ならともかく、法に触れない火遊びも許されず、生活のすべてに建前だけを求められるのなら、アイドルなど誰もやらなくなるだろう。
ジャニーズアイドルが好きなら、スキャンダルも愛でてほしい。よしんば、それを嫌うことはあっても、否定することはやめてほしい。スキャンダルの否定は、人間の否定である。
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