越境的専門誌『ワトソンJAPAN』と『GURU』【新保信長】 連載「体験的雑誌クロニクル」25冊目
新保信長「体験的雑誌クロニクル」25冊目
もともとパソコン自体がサブカル的な文脈から出てきたようなところもあり、この時代のパソコン誌にはサブカル要素の強いものが散見される。『マックブロス』(技術評論社/1993年創刊)、『ワイアード』(同朋舎出版/1994年創刊)、『デジタルボーイ』(毎日コミュニケーションズ/1995年創刊)、『CAPE X』(アスキー/1995年創刊)などがそれ。パソコン誌というよりデジタルカルチャー全般を扱う雑誌も含まれるが、いずれも新しいジャンルの混沌と猥雑なエネルギーを感じた。
それにしても、この手の雑誌の国会図書館所蔵率の低さは何なのか。『GURU』は書誌データは出てくるものの所蔵なく、『マックブロス』『デジタルボーイ』は(検索の仕方が悪いのかもしれないが)データすら出てこない。『ワイアード』は2011年の復刊以降のものはあれど古いものはほとんどなし。なぜか『CAPE X』だけは9号中8号がそろっていたが、前述の『ワトソンJAPAN』は、これまたデータすら出てこない。
国立国会図書館法には、出版物を発行したら〈発行の日から三十日以内に、最良版の完全なもの一部を国立国会図書館に納入しなければならない〉と定められている。〈発行者が正当の理由がなくて前条第一項の規定による出版物の納入をしなかつたときは、その出版物の小売価額(小売価額のないときはこれに相当する金額)の五倍に相当する金額以下の過料に処する〉と罰則もあるので、各出版社におかれましては納本義務をしっかり果たしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
文:新保信長

