「愛しさと切なさと心強さと」誕生秘話をTK明かす。鬼プロデューサーからボツ→3~4日で名曲完成

11月5日、東京・原宿のwith Harajuku Hallで、スマートフォンゲーム『アウトランカーズ』の完成披露会が行われ、音楽プロデューサーの小室哲哉、ゲームクリエイターの岡本吉起氏が登場した。
2人のレジェンドが顔を合わせるのは、実に約30年ぶり。前回は1994年の『ストリートファイターII MOVIE』劇場版アニメーションの制作時だった。その時に生まれたのが、篠原涼子の大ヒット曲「愛しさと切なさと心強さと」だ。
岡本氏は当時を振り返り、苦笑しながらこう明かした。「最初に上がってきたのがバラードだったんですよね。合わなかったんで、ボツで」。小室が最初に提出した楽曲は、劇場版の世界観に合わないという理由で却下されていたのだ。

普通ならムッとするところだが…小室は岡本氏のフィードバックに素直に耳を傾けたという。岡本氏のリクエストは明確で「T.R.F.の『寒い夜だから』のように、『どん、だーん』と音が入ってすぐサビが来る、盛り上がる曲が欲しい」というもの。
夏休みの劇場公開に間に合わせるため、小室に与えられた時間はわずか3~4日間だったが、果たして名曲「愛しさと切なさと心強さと」が誕生。イントロから印象的なビートが響き、瞬時にサビへと突入する構成は、まさにリクエスト通り。この曲は篠原涼子のブレイクのきっかけとなり、小室ファミリーを代表する楽曲の一つとなった。

そして30年の時を経て、2人は再びタッグを組むことになった。今回リリースされるスマホゲーム『アウトランカーズ』のテーマソング「風に舞う戦士」には、「愛しさと切なさと心強さと」で使われた音のモチーフを使用。元のテープからデータを引っ張り出し、あのフィルイン(タンタンタンタン)のドラム音も含めて移植したという。
「90年代の雰囲気と2020年代の新しさのバランスに苦労しました」と小室は制作の難しさを語る。さらに今回、小室は自身の「定石を破った」挑戦をしたという。「今までの曲のパターンって、Aメロ、Bメロ、サビみたいなのが多いんですけど、これ、Bメロがないパターンなんですね。自分の中では結構冒険しました」 と語る。

そして岡本氏からは「あと1年半でゲーム開発から引退する予定です」と清池区の発言も。ただし、引退後も若手クリエイターのサポートは続けていくという。レジェンド2人の化学反応、そして集大成を楽しみたい。
『アウトランカーズ』は、3人編成の3チームが入り混じる「奪い合いアクションバトル」。プレイヤーは貴重な資源「エルピス」を集めながら、共闘や裏切り、ハプニングを経験し、約3分間のプレイで勝利を目指すスマホゲーム。
取材・撮影:BEST T!MES編集部
