「好き」と浮気男に翻弄された44歳独身女性が、母の死後に「ひとりが平気」と悟るまで【谷口友妃】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「好き」と浮気男に翻弄された44歳独身女性が、母の死後に「ひとりが平気」と悟るまで【谷口友妃】

ミドル独女~私たちのホンネ~ 44歳裕子さんの場合

■結婚への変わらぬ想いと微妙な変化

 

 裕子さんは、母を失ってから価値観が変わり、恋愛に対して冷静に考えられるようになったという。隼人さんとの過去に対してもだ。

「恨むことしかないなと思ったけど、自分だって全部正しかったかと言われたらそうじゃないし……。いろいろなことがあったから今はあるしね。なんだかんだ言って、別れることになった相手も含めて、みんな出会えて良かったなって思います」

 好きな人と結婚したいと思ってきた裕子さん。いまもその考えは変わらないのだろうか。

「どうしても結婚・出産がしたいのであれば、結婚できそうな人を探していました。『恋愛と結婚は別』と考える人もいるし、子どもを育てるなら経済力のある人の方がいいのかなって思うけど、自分の恋愛感情がついてこないのに親密な関係になれるかと言えば、割り切れる自分ではないと思います」

 裕子さんはマッチングアプリで出会いを探そうとは思わない。条件を設定してフィルターをかけ、その枠のなかだけで人を見る自分がイヤだと思うからだ。

 

▲マッチングアプリを使う予定はないという

 

 寂しいと感じることはないのだろうか。

「お父さんもお姉ちゃんもいるから寂しいとは思わないです。お姉ちゃんは結婚していますが、子どもはいません。お姉ちゃんとは“推し”も一緒なので、しょっちゅう遊んだりライブに行ったりしています。それに、いままでは常に人といることが好きだったけど、母がいなくなってからはひとりが平気になりました」

 現在は、事実婚のように寄り添って生きていくパートナーがほしいと考えている。

 筆者も、好きな人と結婚したいタイプだった。というか、それしか考えていなかった。だから、裕子さんの考え方は自分と重なるところが多かった。

「結婚したいと思うなら、ひとりの人に時間を注ぐのではなく、ダメだと思ったときに次に進む勇気が必要」そう語る裕子さんの言葉は、経験から見出した金言だと思う。

取材・文:谷口友妃

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谷口 友妃

たにぐち ゆき

幼少期に父を亡くしシングルマザーの家庭で育つ。心臓病の母との生活で感じた社会の歪みや、働く意味を求めて天職探しをした経験などから「仕事と生きがい」、「幸せな社会のつくり方」などのテーマに関心を持つ。2014年から執筆業を始め、多様な業界で働く人を紹介する社内報の巻頭記事や医療情報の取材記事、介護問題を扱う著名人の連載インタビュー企画などを担当。過去に取材した人の数は2000人以上にのぼる。読売新聞オンライン、みんなの介護「賢人論。」などに記事を執筆。

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