メタ「AI部門600人解雇」の衝撃。必死に“AI人材”になっても、最初に切られる未来はもうすぐ

フェイスブックやインスタグラムを展開するメタ社が、AI人材600人のレイオフを決めた。米CNBCが報じた。
グーグルやOpenAIに負けじと、AI部門への投資を加速させてきたメタ。6月には143億ドル(約2兆円)で注目の新興AI企業Scale AIに投資し、49%の株式を取得。同社創業者アレクサンダー・ワン氏を最高AI責任者として迎え入れた。
しかし社内では、AI部門の肥大化が深刻化していた。独自LLM「Llama(ラマ)4」は4月のリリース後開発が進まず、マーク・ザッカーバーグは焦っているという。

今回の解雇で影響を受けたのは、基礎AI研究部門(FAIR)やインフラ部門の既存社員たちだ。対照的に、今夏高額で引き抜かれたトップAI人材が集まる「TBD Labs」は無傷だった模様。
解雇された社員には11月21日までの「非勤務通知期間」が与えられる。その間、社内システムへのアクセスは切られる。退職金は基本16週間分に、勤続年数1年につき2週間分が加算される。ただし通知期間分は差し引かれる。
メタは今年、総支出として最大1,180億ドル(約17兆円)を見込む。10月21日にはルイジアナ州の大規模データセンター開発で、Blue Owl Capitalと270億ドルのジョイントベンチャーを発表した。
解雇後、AI中核部門「Superintelligence Labs」の人員は3,000人弱となる。施設やAI技術には巨額を投じるが、人は容赦なく削っていく。
「AI人材になれば安泰」「ChatGPTを使いこなして生き残ろう」──生成AIの進化とともに、日本でもこういった煽り文句を最近よく見かける。
だが、皮肉なことに今回真っ先に切られたのは、まさにそのAI人材たちだ。メタのAI研究部門で働いていた技術者たち。必死にAIスキルを磨き、最先端の現場で働いていた彼らでも、経営判断ひとつで放り出される。
日本でもそうだろう。これから中途半端にChatGPTの使い方を覚えたところで、代替可能な存在にしかならない。潤うのは企業と一握りのトップ人材だけ。AIが仕事を奪うのではない。AIを口実に、企業が人を切り捨てていく。
文:BEST T!MES編集部
