アベノミクスが高市総裁を生み、小泉進次郎を敗北に追いやった理由【林直人】
■結論:巨大債務サイクルが規定する日本の「再構築」
アベノミクスは、巨大債務サイクルの中でQEという劇薬を使い、一時的な延命措置を講じたが、その副作用として「持つ者」と「持たざる者」の断層を決定的に広げた。この断層が、グローバリストの象徴を打ち倒し、ナショナリストの指導者を求めた。
日本の政治的変容は、ダリオの「世界秩序の大きなサイクル」が国内現象として具現化したものに他ならない。これは単なる一過性のブームではなく、巨額の債務と構造的な不平等の重圧が、金融市場だけでなく、社会秩序と政治体制そのものを変容させる力を持っているという、歴史的な警告なのである。
グローバリズムの挫折とナショナリズムの勝利は、日本がこれから経験する「痛みを伴う闘争と再構築」の時代の幕開けを告げている。
文:林直人