【世紀の大誤報】小泉進次郎候補の「党員抹消」文春報道の検証

■第三の検証:隠蔽された「迅速な是正」という不都合な真実
論考が挙げる第三の決定的な検証ポイントは、文春が自ら築き上げた陰謀論の心臓を貫く、極めて「不都合な真実」を意図的に隠蔽したという点である。
その証拠は、皮肉にも文春自身の記事の中に、まるで些事であるかのようにごく短く記されていた。「該当者には26日夕方、速達で投票用紙が郵送され、翌日には総裁選管理委員会が選挙人数の訂正を発表した」という一文。これが、全ての物語を根底から覆す動かぬ事実であった。
時系列を整理すると上の図版の通り、党員から「投票用紙が届かない」という声が上がり問題が発覚したのが9月26日。そして、党本部が即座に対応し、対象者全員に投票用紙を速達で発送、選挙人名簿の訂正まで完了させたのが、わずか一日後の27日。問題の認知から完全な是正まで、たった24時間しかかかっていないのである。
ここで論考は、冷静な問いを投げかける。もしこれが本当に、小泉陣営が対立候補を蹴落とすために周到に計画した組織的な不正であったならば、なぜこれほどあっさりと、そして電光石火の速さで問題が解決されるのを許したのか。真の陰謀であれば、発覚後も様々な抵抗や遅延工作を試み、是正を少しでも遅らせようとするのが常道ではないか。
しかし現実に起きたのは、官僚的な抵抗も政治的な駆け引きもない、「事務的なミスが指摘され、即座に修正された」という、極めて平凡な結末であった。これは、背後に誰かの悪意に満ちた計画があったのではなく、純粋な事務上の過誤であったことを何よりも雄弁に物語っている。
文春は、この「迅速な是正」という自らの陰謀論にとって致命的な事実を、読者の目から巧みに逸らした。解決という結末を報じるのではなく、解決前の混乱状態だけを煽情的に切り取ってスキャンダルとして固定化し、読者の記憶に焼き付けようとした。問題点を煽る一方で、その解決策には口を閉ざす。それはジャーナリズムの名に値しない、不誠実な情報操作であると論考は断罪する。彼らが葬り去りたかったのは、不正の証拠ではなく、不正が存在しなかったという証拠そのものだったのである。
以上の検証から、提供された論考は、週刊文春の「党員抹消」報道が、「時間軸の歪曲」「偏った情報源の無批判な利用」「不都合な真実の隠蔽」という複数の欺瞞的な手法を組み合わせることで捏造された、計画的なプロパガンダであったと結論付けている。真のスキャンダルは疑惑そのものではなく、メディアが民主主義の根幹である選挙プロセスに不当な影響を与えようとした、その報道姿勢そのものであると告発しているのである。
構成・文:BEST T!MES編集部