婚活のレールを降りた43歳美女が「今が一番幸せ」と誇れるワケ。転機となったのは母の言葉【谷口友妃】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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婚活のレールを降りた43歳美女が「今が一番幸せ」と誇れるワケ。転機となったのは母の言葉【谷口友妃】

ミドル独女~私たちのホンネ~ 43歳真弓さんの場合

■今できることを精一杯やるだけよ

 

 さらに続ける。

「旦那さんの年収がたとえ4億あったとしても、話がつまらない人だったら結婚したいと思わないです。この先、もしそういう人と結婚したとしても、つまんないなと思ったら不倫するんじゃないかな。そういう人と一生安定する生活をするよりも、自分のお給料内で楽しい友達に囲まれて刺激のある会話を聞いている方が、生きがいを感じると思うんです」

 地元の友人の多くは離婚し始めているという。彼女たちの話を聞くことで、「私は独身のままでいて良かった」と自分を肯定できているのかもしれない。

 周囲が、結婚・出産・子育てなどで時計の針を進めていた間、真弓さんも、趣味や仕事、袖すりあった人たちと心地良い団らんを楽しみながら生きてきたのだ。

 最後に、10年前の自分に戻れるならどんな生き方がしたいか聞いてみた。

「もし昔の自分に声を掛けられるなら、婚活頑張らなくていいんだよって言いたいなぁー。勝手にあんたが頑張ってるだけなんだよって。独身でも幸せだし、本当に、今が一番幸せだよって言いたいです。どんな生活をしてても絶対不満ってあると思うから、それならそれで与えられた今の環境で精一杯やれることをやって、解消すればいいだけの話です。それって乗り越えられるぐらいのものじゃんみたいな感じで」

 と言いながら、真弓さんの部屋に貼ってあるロード・オブ・ザ・リングのガンダルフの言葉を紹介してくれた。

“All we have to decide is what to do with the time that is given to us.”

「つらい目に会うと、悩んでしまうが、悩んだところで変えられない。大事なのは、これからの時間で、自分に何ができるかを考えることじゃ」

 幸せは、人それぞれカタチが違う。

 もし真弓さんが、世間のレールのままに無理にでも結婚していたら、望まない役割を背負わされ息苦しさのなかで自分の“好き”を押し込めて生きていたかもしれない。

 果たして、真弓さんを愛する人たちは、そうなることを望んだだろうかーー。

 アニメの話をするときの真弓さんは、肩の力が抜けて少女のように純粋な表情をしていた。

 共に生きていける相手とは、そんなふうに、「これが私」と生き生きと自己表現できる人なのではないだろうか。

 筆者も、周りがそうしているからと婚活をしてみたし、そのなかで付き合った人もいた。しかし、お互いに求めるものが違っていた。

 さまざまな仕事を渡り歩いてライターになった私にとって、書く仕事は「生きる意味」であり「生きる場所」になっている。

 しかし、元カレはそんな私の生き方を尊重するというより、ただ癒やしをくれる存在であることを望んでいるように感じた。

 そして、私は、再び一人になり冒険の旅を続けることにした。

 私もまた、ガンダルフの言葉のごとく、過去に学び「今できることを精一杯やるだけ」なのだ。

取材・文:谷口友妃

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谷口 友妃

たにぐち ゆき

幼少期に父を亡くしシングルマザーの家庭で育つ。心臓病の母との生活で感じた社会の歪みや、働く意味を求めて天職探しをした経験などから「仕事と生きがい」、「幸せな社会のつくり方」などのテーマに関心を持つ。2014年から執筆業を始め、多様な業界で働く人を紹介する社内報の巻頭記事や医療情報の取材記事、介護問題を扱う著名人の連載インタビュー企画などを担当。過去に取材した人の数は2000人以上にのぼる。読売新聞オンライン、みんなの介護「賢人論。」などに記事を執筆。

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