こうした権力闘争上の不利を挽回し、長老たちの批判を回避するために、日本を利用することは過去にも例があった。自分に向かう批判の矛先を、反日にすり替え、逆に求心力を高めるために利用するわけである。少なくとも南シナ海で中国に不利な裁定が出たあと、フィリピンとの二国間協議で中国に有利な条件で島の軍事拠点化を進めていくにしても、国際社会の南シナ海への関心をそらさねばやりにくい。いずれにしろ尖閣に関しては二〇二二年までに係争地に仕立て上げなくてはならないのだ。

 とすると、日本としてはどう対応するべきなのか。

 まず国家としては、何としても尖閣周辺の実効支配を守りきる。それには必要な防衛力警備力増強とその防衛力警備力を行使するための法整備が喫緊の課題である。そしてそれを行えるだけの世論の支持の形成も必要だろう。

 海上警備行動をとる、という警告をいくら出しても、四〇〇隻の漁船を伴った十数隻の武装海警船を領海や接続水域から排除できる実行力とそれを行使できる法的環境を保持していなければ、足元を見られて見くびられるばかりである。しかも、日本国内には、日本よりも中国に味方するメディア・世論もある。日本のメディア・世論をうまく利用して、尖閣諸島の係争地化を日本人自身に認めさせようともするだろう。

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