自民党“裏票田崩壊”の決定的証拠 ーー暴排条例後の裏票田が参政党へ雪崩を打った瞬間 【林直人】
第2章 分析の理論的枠組みと方法論
— “票田の地殻変動”を数値で暴く —
■理論的爆心地:インサイダーの凋落と“裏切られた”保守層
今回の分析の背骨にあるのは、リンベックとスノーワーが提唱した「インサイダー・アウトサイダー理論」の政治的応用だ。
長年、自民党は地方の建設業界や娯楽産業を「インサイダー」として抱き込み、公共事業という蜜を滴らせ続けてきた。だが、暴力団対策法の強化とグローバル化の冷たい波が、その蜜壺を叩き割った。
かつての“特権階級”は一夜にして「アウトサイダー」へと転落。
政治的孤児となった彼らの前に、参政党がナショナリズムという旗を掲げて現れた瞬間ーーその吸引力は、単なる政策論を超えたアイデンティティの奪還運動として機能した。
■データの狙撃精度
本研究では、日本全国の全1,741市区町村を対象に、2022年参院選・2024年衆院選・2025年参院選の3時点での票の動きを追跡する。
中心に据える武器は、組織犯罪プロキシ(OCP)ーー暴排条例後もなお産業構造に刻まれた“裏のDNA”をあぶり出す指標だ。
OCPは、経済センサス2021のデータから「建設業」+「娯楽業」の従業者割合を特化係数として算出し、標準化したもの。犯罪そのものを測るのではないが、かつて非公式経済の中枢にいた地域の残影を精密に描き出す。
さらに、所得水準・人口密度・高齢化率・財政力といった社会経済指標を制御変数として投入し、“言い逃れ”の余地を徹底的に潰した。
第3章 分析結果:保守票“離反”の定量的証拠(2025年改訂版)
— 数字が暴く“牙城崩壊”の加速度 —
■統計が告げる“参政党ショック”
2025年の実測データを突きつけると、政治地図の塗り替えが予想以上のスピードで進行していることが明らかになった。
参政党の市区町村平均得票率は、2022年の3.8%から2024年の7.5%へ倍増。そして2025年には12.1%へと跳ね上がり、最大値は31.5%に達した。これは、単なる勢いではなく、地方票田の一部が丸ごと陥落した証拠である。
一方、自民党の平均得票率は、2022年の34.5%から2025年には28.2%まで下落。牙城はまだ残るが、明らかに侵食が始まっている。
(表1)
(表2)
自民党:OCPとの正の相関はまだ残るが、係数は1.15 → 0.85 → 0.62と確実に低下。かつての票田は、静かに離反を始めている。
参政党:2022年の0.45は、2024年に0.95と倍増。そして2025年には1.58という、予測をはるかに超える“異常値”を叩き出した。これはOCP票田の重心が完全に移動しつつある証拠だ。