ジャングリアに流れた公的資金を含む700億円の闇――国民の血税が“テーマパーク詐欺”に消える日【林直人】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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ジャングリアに流れた公的資金を含む700億円の闇――国民の血税が“テーマパーク詐欺”に消える日【林直人】

ジャングリア沖縄

 

◾️機能しなかった審査機関ーー杜撰なデューデリジェンス

 

 融資判断において最も問われるべきは、受託者責任の所在だ。

 国民の資金を動かす以上、金融機関には厳格なデューデリジェンスが求められる。

  だが本レポートが明らかにしたアトラクションの処理能力不足は、すべて公開情報。

 専門家でなくとも確認できたはずの構造的な欠陥を、商工中金をはじめとする金融機関は見逃した。

 いや、見逃したのではない。見て見ぬふりをしたと疑われても仕方ない。

 

◾️沖縄振興の名を借りた“地雷投資”

 

 この融資の名目は「沖縄県の持続的な観光開発への貢献」。

 だが、来場者の満足度が著しく低く、悪評が広がれば、観光地としてのブランドが毀損され、むしろ逆効果である。

 これは「地域振興」の名を借りた、観光破壊ビジネスへの公的加担だ。

  沖縄県の観光戦略では「高付加価値・高満足度」が掲げられている。

 ジャングリアはその正反対。低満足・高負荷・高離脱率。

 この矛盾に資金が流れたという事実は、地方経済政策に対する国家の信頼を大きく揺るがす。

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林直人

はやし なおと

起業家・作家

1991 年宮城県生まれ。仙台第二高等学校出身。独学で慶應義塾大学環境情報学部に入学(一般入試・英語受験)。在学中に勉強アプリをつくり起業するも大失敗する。その後、毎日10 分指導するネット家庭教師「毎日学習会」を設立し、現在に至る。毎年100 人以上の生徒を指導し、早稲田・慶應・上智を中心に合格者を多数輩出している(2021 年早慶上智進学者38 名・7/20 時点)。

著書に『うつでも起業で生きていく』(河出書房新社)、『人間ぎらいのマーケティング人と会わずに稼ぐ方法』(実業之日本社)などがある。

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