「AVを知ったきっかけは紗倉さん」憧れの人と5年越し対面【紗倉まな×神野藍 対談第1回】
【紗倉まな×神野藍】新刊同時発売記念〈対談全4回〉

◾️高校の同級生に見せられて…
神野さんにとって、この対面は5年越しの念願でもあった。神野さんの「渡辺まお」としてのデビュー作のパッケージには、「紗倉まなちゃんが大好き」という文字が載っている。
神野「デビューの時、リツイートしてくださったんですよね」
紗倉「パッケージ見た時、めっちゃ可愛い! と思ったのと同時に、隣にある私の名前、完全に邪魔だろって(笑)。嫌じゃなかったですか?」
神野「そもそもAV女優ってものを知ったのが、高校で、後ろの席のまあまあしゃべってた男の子が『このAV女優可愛くね?』って言ってきて。これ見ていいんか? って思いながら見せられたのが、紗倉さんで」
紗倉「ええっ。そうだったんですね……!」
神野「お前ちょっと似てるやん、そんなことないよもっと可愛いよこの人、とか言ってたのが、AVとの出合いだったんです。AV女優イコール紗倉まな、っていう頭だったんですよ」
紗倉「いや、これはでも、私の中で申し訳ないなっていう思いがあって。私の存在はAVを知るきっかけではあったかもしれないけど、実際にデビューする本当のきっかけではなかったと思うから。本人としては不本意だったんじゃないかな? そういうことにしてしまっていいのか? って」
神野「面接の時に私がぽろっと『紗倉さんが好きなんですよ、すごい可愛いなと思ってて』っていう話をしたんです。だから逆ですよ、私はデビュー作に名前を載せていいのか!? って。名前を借りすぎてるんじゃないか? って」
紗倉「全然そんなことない! そもそもですけど、私たちにこういう気遣いをさせる時点でメーカーのやり方がダメです(笑)。でもよかった、聞けて。ずっと気になっていたんですよ」
現場を知る2人ならではの話に花が咲く。ひと口に「AV女優」と言っても、見えている景色は人によって違うのだそう。
紗倉「同じAV女優という括りでも、各々の働き方は全然違うじゃないですか。現場の雰囲気も、メーカーによっても、制作会社によっても違うし。語る時の主語をどれだけ大きくしないで語るかとか、そういうあんばいも考慮していかないとだめですよね」
神野「そうですよね。こういう本を書くってなった時も、どこまで行っても一個人の話で終わらせたいというか。ずっと主語を私からずらさないようにっていうのは思ってました。やっぱり自分が現役を退いた身なので、その立場から何か書くなら、現役の方には迷惑をかけたくないし。あくまで自分個人として全部書きたいなっていうのがあって」
紗倉「それってなんか、ありがたいことですね。だって、憎まれても然るべきような業界を去った後に、ちゃんと恩義を忘れないでいてくれているだなんて、業界としてはありがたすぎる話だと思いますよ」
神野「好きな監督もいたし、好きな制作の人もいたし。そういう人の顔を思い浮かべると、憎めないんですよね。憎みたくないし」
第2回は、紗倉さんの『犬と厄年』をきっかけに大盛り上がりした、愛犬トークをお届けする。
構成・文:BEST T!MES編集部
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「元エリートAV女優のリアルを綴った
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✴︎目次✴︎
はじめに
#1 すべての始まり
#2 脱出
#3 初撮影
#4 女優としてのタイムリミット
#5 精子とアイスクリーム
#6 「ここから早く帰りたい」
#7 東京でのはじまり
#8 私の家族
#9 空虚な幸福
#10 「一生をかけて後悔させてやる」
#11 発作
#12 AV女優になった理由
#13 セックスを売り物にするということ
#14 20万でセックスさせてくれませんか
#15 AV女優の出口は何もない荒野だ
#16 後悔のない人生の作り方
#17 刻まれた傷たち
#18 出演契約書
#19 善意の皮を被った欲の怪物たち
#20 彼女の存在
#21 「かわいそう」のシンボル
#22 私が殺したものたち
#23 28錠1シート
#24 無為
#25 近寄る死の気配
#26 帰りたがっている場所
#27 私との約束
#28 読書について1
#29 読書について2
#30 孤独にならなかった
#31 人生の新陳代謝
#32 「私を忘れて、幸せになるな」
#33 戦闘宣言
#34 「自衛しろ」と言われても
#35 セックスドール
#36 言葉の代わりとなるもの
#37 雪とふるさと
#38 苦痛を換金する
#39 暗い森を歩く
#40 業
#41 四度目の誕生日
#42 私を私たらしめるもの
#43 ここじゃないどこかに行きたかった
#44 進むために止まる
#45 「好きだからしょうがなかったんだ」
#46 欲しいものの正体
#47 あの子は馬鹿だから
#48 言葉を前にして
#49 私をほどく
#50 あの頃の私へ
おわりに