日本でネオナチ政党が拡大。人類はどこに向かうのか?【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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日本でネオナチ政党が拡大。人類はどこに向かうのか?【適菜収】

【新連載】厭世的生き方のすすめ! 第7回

 

■島は最後の逃げ場である

 

 常識的に考えれば、つまりキリスト教の世界観から離れて考えれば、地球外に生命体は数多く存在すると思う。宇宙の広さを考えれば、地球にしか知的生命体が存在しないというのは不自然すぎる。また、人類よりはるかに高度な文明を持っている可能性は高い。だが、宇宙は広いので地球上の生物が能動的に地球外生命体と接触するのはほぼ不可能。それ以前に「宇宙」というのも人間の認識の延長に存在する。

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 だから、やはり海という結論になる。パーラメント/ファンカデリックも宇宙がテーマだったのに、「モーター・ブーティ・アフェア」でいきなりテーマが海になった。

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 宇宙から地球を見れば人生観が変わるという話は有名だ。立花隆の宇宙の本にも宇宙飛行士の発言が載っていた。遠い場所から青い地球を見れば、戦争も無意味に感じ、平和主義者になる。そして、人間の小ささを知り、神を信じるようになる。言いたいことはわかる。しかし、人間は誰でも宇宙に行くことができるわけではない。海なら近い。だからやはり海である。

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 私が初めてシュノーケリングをしたのは、タイのサムイ島だった。サムイ島から小型船に乗って小島に行き、さらに小型のボートに乗り換えて、魚がたくさんいるスポットに移動した。そのとき見た光景は想像をはるかに超えていた。大きな魚が現れたとかと思うと、小さな魚の群れに包まれる。カラフルなイソギンチャクやサンゴ礁。竜宮城としか言いようがない。最初の衝撃があまりにも大きかったので、そのあとあちこちの海でシュノーケリングをしたが、それ以上の感動は今のところない。

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 2度目にサムイ島に行ったときは、巨大なサメに遭遇した。マレーシアのティオマン島ではコバンザメがおなかにくっついてきたので一緒に泳いだ。沖縄の渡嘉敷島で泳いでいると、遠くにウミガメがいた。手招きすると、近寄ってきたので、しばらく一緒に泳いだ。ティオマン島は星も素晴らしかった。海岸の砂浜に寝ころんで空を見ると、天の川がくっきりと見え、流れ星も多かった。そして宇宙の広さに思いを馳せた。

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 高村光太郎は「智恵子は東京に空が無いといふ」と書いた。都会が嫌になったら、島で暮らすのもいい。西郷隆盛も島に流されたが、結婚して子供もできた。オウム真理教の林泰男もそうだが、逃走犯が石垣島で見つかったりするのも、「島は最後の逃げ場である」と考える人が多いからだろう。宇宙まで行かなくても、島に行くだけで世界観は変化する。

 

文:適菜収

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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