生きる伝説スライ・ストーンの死。ミュージシャン・近田春夫と作家・適菜収は何を感じたのか?【近田春夫×適菜収】 《新連載》「言葉とハサミは使いよう」番外編 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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生きる伝説スライ・ストーンの死。ミュージシャン・近田春夫と作家・適菜収は何を感じたのか?【近田春夫×適菜収】 《新連載》「言葉とハサミは使いよう」番外編

【近田春夫×適菜収】 新連載「言葉とハサミは使いよう」

Sly Stone, Apr 18, 2010 : Coachella, CA 4/18/10- Coachella Music and Arts Festival 2010 – Day 3

 

■スライが弾いているベースは病んでいて好きだった

 

適菜スライには余裕がありますね。JBみたいにかちかちにやらない感覚が、P-FUNKにつながっていくのでしょうね。プリンスもラリー・グラハムと何回かツアーをしていて、スライの曲もいろいろ演っています。

近田:尊敬はしてるんだろうね.オタク的に! プリンスは真面目そうだからね。ラリー・グラハムは、技術職だから、スライの精神みたいなものはそこまで継承してないかも?

適菜そうだと思います。だから私は初期のラリー・グラハムのベースより、後期のアルバムでスライが自分で(多分)弾いているベースのほうが病んでいて好きです。

近田:だよね! でも「if you want me to stay」は、ラリー・グラハムだったよね?

適菜if you want me to stay」のベースは、グラハムではないのでは? たしか71年にはグラハムはスライのバンドを脱退しているんですよね。

近田:そおかぁ、あのフレーズホントにいいのよ! ラスティ・アレンっていうベースかも?

適菜そうだと思います。

近田:テンプテーションズの「happy people」って結構スライ意識してない? これさぁ、作曲ライオネル・リッチーも参加している。この時代のテンプテーションズ、サイケでいいのよね!「Bowl of confusion」とか。そういえば「happy people」は、最初日劇のウェスタンカーニバルでジャニーズの子達が演ってて、それがよくって調べてテンプテーションズに辿り着いたの覚えてる!

適菜テンプテーションズはそうですね。

近田:この弔いのLINE、発表できたらいいのになぁ!

適菜では、私が簡単にまとめましょうか。そして、ベストタイムズに載せます。

近田:おお! 楽しみっす!

適菜というわけで、スライについて語り足りないところがあったら、教えてください。

近田:ディアンジェロはどこまで行っても地味じゃん! てのは、入れときたいね。

適菜ロクに新作アルバムも出しませんしね。でも、『Black Messiah』には、スライの血が流れていると感じました。

近田:スライが来日したときは、どんな感じだったの?

適菜ブルーノートのスライのライブでは、4曲くらいしか演らなくて、ビジーフォーの太ったほうが、「もう終わりかよ、カネ返せ」と叫んだそうです。私は直接聞いていないのですが、そいつと同じテーブルにいた知人のコックから聞きました。それ以来、あのデブが嫌いです。当時の記憶が蘇ってきました。ライブが終わった後、そのコックのグループには合流できず、帰ろうとすると、スガシカオか、スガシカオによく似ている人がいました。多分本人だとは思いますが。

近田:スガシカオ、スライ、好きだよね.前に番組で話したことあるもん。

適菜そのコックがブルーノートの支配人と友人で、私は「立ち見」で無理やりねじ込んでもらったんです。

近田:おお! 聞かせて。

適菜国際フォーラムの公演が終わった後、某所にあるバーに行ったんです。これがどのくらいすごいことなのか誰かに伝えたかった。その店のバーテンダーが以前、「僕はブラックミュージックが大好きなんです。僕の部屋には昔のレコードが山ほど積んであってね」と言っていたのを思い出したので、国際フォーラムでスライのライブを見てきたと言ったら、「スライって誰ですか?」と。すごいほら吹きなんですよ。

近田:そういう人、昔いたよね!

適菜それでアホかと思い、店を出て、六本木のアモーレという店に行った。亡くなってしまった料理人の澤口知之さんの店。イタリアンです。彼はブルーノートの支配人と友達で、スライのライブに仲間で行くという。それで、その場で支配人に電話してもらい、立ち見で入ることができたんです。

近田:その時のスライ、どんな感じだったの? ヨレヨレ?

適菜ヨレヨレでしたが、国際フォーラムでは30分以上演りました。前座がロベン・フォードで、次がサム・ムーアでした。ブルーノートは数曲演奏した後、スライは楽屋に引っ込んでしまい、他のメンバーが20分くらい演奏していたような気がします。

近田:サム・ムーアは、70年代なかば、ニューヨークの20人ぐらいしか入らない店で一人で演ってたの観たなぁ。こんな有名な人が!とびっくりしたの覚えてる。そろそろご飯食べるので!(^з^)-☆

適菜 はい。では、新連載「言葉とハサミは使いよう」番外編のLINE対談という形で、このままアップします。

 

文:近田春夫×適菜収

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近田春夫×適菜収

ちかだ はるお×てきな おさむ

近田春夫(ちかだ はるお)

音楽家。1951年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部中退。1975年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。その後、近田春夫&ビブラトーンズ、ビブラストーン、President BPM名義でも活動する一方、タレント、ラジオDJ、CM音楽作家、作詞家、作曲家、プロデューサーとして活躍。現在は、バンド「活躍中」、ユニット「LUNASUN」のメンバーとしても活動する。文筆家としては、「週刊文春」にJポップ時評「考えるヒット」を24年にわたり連載。著書に『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(リトルモア)、『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』『グループサウンズ』(ともに文春新書)など。最新刊は宮台真司氏との共著『聖と俗  対話による宮台真司クロニクル』(KKベストセラーズ)。

適菜収(てきな・おさむ)

作家。1975年山梨県生まれ。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?』(以上、講談社+α新書)、『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志・中野信子との共著『脳・戦争・ナショナリズム近代的人間観の超克』(文春新書)、『安倍でもわかる政治思想入門』、清水忠史との共著『日本共産党政権奪取の条件』、『国賊論 安倍晋三と仲間たち』、日本人は豚になる 三島由紀夫の予言』『日本をダメにした新B層の研究(以上、KKベストセラーズ)、『ナショナリズムを理解できないバカ』(小学館)、最新刊『コロナと無責任な人たち』『安倍晋三の正体』『自民党の大罪』(祥伝社新書)など著書40冊以上。最新刊は『日本崩壊  百の兆候』(KKベストセラーズ)。「適菜収のメールマガジン」も配信中。https://foomii.com/00171

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