デブはなぜやせないのか。現代社会におけるダイエットの考察【適菜収】
【新連載】厭世的生き方のすすめ! 第4回

■有酸素運動に意味はないのか
旅館で部屋食のとき、お櫃でご飯が出てくる。私はぬるい温泉が好きなので、函南にある伊豆畑毛温泉に何回か行った。温泉街はなく、三軒ほどの温泉旅館があるだけだ。私は三軒とも泊まったが、そのうちの一軒を「食事控えめプラン」で予約した。
しかし、夕食の量は多く、さらにお櫃にご飯が二合くらい入っていた。茶碗だと5杯分くらいか。部屋に食事を運んできたおばさんが「ご飯足りなかったら言ってくださいね」と言う。育ち盛りと思われたか?
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昔から疑問に思っているのだが、お櫃に残ったご飯はどうしているのか?
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「ウォーキングなどの有酸素運動より、筋肉をつけて基礎代謝をあげたほうがいい」と言う人もいる。それ自体は間違ってはいないが、歩けば気分がいいし、精神的にも健康になる。ちりも積もれば山となる。1万歩で約300キロカロリーが消費されるので、毎日1万歩なら、月に9000キロカロリーになる。脂肪1キロを減らすには7200キロカロリーの消費が必要になるので、歩いていれば確実に痩せる。
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ダイエットはスポーツの面白さにも近い。メソッド通りにやれば自然に体は仕上がっていく。私は高校生の頃、毎日走っていたのでよくわかるが、理屈がわかれば、誰でも長距離を走ることができる。普通の人がいきなり走ろうとしても無理だが、順番にメニューをこなせば、無理なくスピードが上がっていく。そうなると、走るのが面白くなる。
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面白いことは長続きする。続けることで、さらに面白さを知る。人間の体は我慢することに向いていない。向いていないのだからしないほうがいい。体が軽くなること、小さくなること自体が快感になれば、体は自然に小さくなる。
文:適菜収
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