SMAP解散、タッキー離脱。ジャニーズは一枚岩でなくなり、分断が深まった【宝泉薫】「令和の怪談」(2)
「令和の怪談」ジャニーズと中居正広に行われた私刑はもはや他人事ではない(2)【宝泉薫】
中居が「ジャニーズ潰し」の延長みたいなかたちで引退に追い込まれてしまった今となっては、もはや絵空事という趣きだが、森が日本選手権で初優勝したのはコロナ禍が始まった年。終わりが見えない感染症の深刻さよりは、SMAPの未来のほうがまだ明るいものに思えたりもしていた。
また、その4ヶ月後の21年3月には、草彅が映画『ミッドナイトスワン』の演技で日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を獲得。賞を争ったライバルたちに祝福されるなか、そのひとりである二宮和也も目をうるませていた。同じジャニーズ俳優の後輩として、独立後の苦境を乗り越えた先輩の姿に感動したのだろう。グループは違っても、そして立場はいろいろ変わっても、ジャニーズという同じ釜の飯を食った人たちのあいだには何か共有できる感情がある、そう思えた瞬間だった。
しかし、そんなものはのんきな楽観主義に過ぎなかったようだ。
22年の秋、滝沢がジャニーズを辞め、続いて、King&Princeが「分裂」することがわかった。キンプリは二人体制となり、残りの三人は独立。のちに、滝沢が立ち上げた事務所に所属し「Number_i」として活動を開始する。
ジャニーズの分断は、確実に進行していたのである。
文:宝泉薫(作家、芸能評論家)
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