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脳を惑わせ「依存」を引き起こす身近な物質

脳に悪影響を及ぼす化合物や脳内物質などによる、身近な依存の正体とは?

 

誤認と変異で深みにハマる

 孤独とストレスフルな現代社会を生きる我々は、無意識に快楽や報酬を求めているという。覚せい剤のような違法薬物だけではなく、タバコやアルコール、買い物、恋愛、ギャンブルなども「やめられない」人は多い。
 これらは脳の神経細胞や分泌機能を変異させる「依存」が引き起こしている。環境に応じて常に変化する脳は、時に誤った情報を認識・更新してしまうのである。同じ量では満足できなくなり、やめようとすれば体調に異変を生じさせるまでに変異する脳。一度ハマれば「やめられない」苦悩が待っている。

<依存の種類は大きく3つ>

行動依存
悩みや不安、ストレスなどの解消行動(買い物、ギャンブルなど)から得たドーパミン放出経験が依存を招く。

関係依存
共依存とも呼ばれ、特定の相手(家族や恋人など)への甘えが依存となり、その存在や関係性に囚われた状態。

物質依存
薬物やアルコールなどの成分がドーパミンの過剰分泌に似た状態を作る。耐性ができ、離脱(禁断症状)も。

<主な依存を引き起こす物質>

ストレス
抗ストレスホルモンであるはずのアドレナリンやコルチゾールも、過剰に分泌されると、ストレス中毒を引き起こす。

ドーパミン
生存条件が満たされた時に分泌される神経伝達物質。快感や幸福感をもたらし、食事や性交渉の依存に深く関わる。

化学物質
違法薬物や危険ドラッグに含まれる化学物質は、脳内物質になりすまして脳をだまし、強い快感や幻覚などを与える。

ニコチン
肺に入ったニコチンは血液とともに脳に達し、α4a2ニコチン受容体に結合して快感物質のドーパミンを放出させる。

アルコール
ドーパミン、セロトニンの分泌を促す一方、体を緊張させる副腎皮質ホルモンを抑制。2合程度から脳を萎縮させる。

合成甘味料
肥満に関わるインスリンの分泌に影響を与えるアスパルテームやスクラロースなど依存性と発がん性も指摘される。

取材・文/吉井利恵
 

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